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  • “自分の気持ちに素直になること”が大事。人気イラストレーター・Mika Pikazoさんインタビュー
インタビュー
2016.10.11

“自分の気持ちに素直になること”が大事。人気イラストレーター・Mika Pikazoさんインタビュー

  • インタビュー
  • イラストレーターインタビュー
文:オバラ ミツフミ

プロのテクニックを動画で見ながら、絵について学べるピクシブの人気サービス「sensei(センセイ)」でメイキングを公開してくださった人気イラストレーターのMika Pikazoさん。


今回pixivisionでは、彼女がプロとして活躍するまでのエピソードや、普段絵を描く上で気をつけていることなどをインタビューさせていただきました!


今ではキャラクターデザインや書籍の表紙イラストなど、多方面で引っ張りだこのMika Pikazoさん。しかし、これまでは思うようにいかなくて悶々としていた時期や、絵を諦めようとしていた過去があったそうです。


プロのイラストレーターになりたいけれど、一体何から始めていいのかわからない……そんな悩める若い世代の背中を押してくれるメッセージも盛りだくさん。ご本人の口から語られた貴重なお話をお見逃しなく!

好きなものを詰め込んだ、渾身の一枚

▲今回作成したメイキングの完成イラスト

── 本日はよろしくお願いいたします! さっそくですが、今回のイラストのテーマについて教えてください。

今回メイキングを描くにあたり、せっかくの機会なので自分が好きな色やデザインをふんだんに使ってみようと思って、「色がカラフルで可愛いもの」をテーマにしてみました。赤や黄色などのビビッドな色と、和柄のモチーフを組み合わせています。

── 普段から和をテーマにした作品が多いですよね。Mika Pikazoさんが考える「和柄の魅力」とは何でしょうか?

シンプルな丸や三角などにとどまらず、花びらや波の形など、多くのモチーフがあり、組み合わせ次第ですごく繊細にも豪華にも見えるところですね。描き方次第で自在に表情を変えることができるのが魅力だと思います。

── そうなんですね。素人目に見ると、和柄は細かいので、描くのが大変そうに感じますが、いかがですか?

和柄のモチーフを描くことについては、だいぶ手癖で描いていけるのでそこまで苦労は感じていないです。普段からよく描いているので、今では絵の中に無意識に盛り込んでいけるって感じですね。

──Mika Pikazoさんが絵でこだわるポイントは、やはり和柄なんでしょうか?

いえ、好きでよく描いてるモチーフではあるんですが、柄にこだわっているわけではありません。絵を描くときに一番こだわるのは、世界観です。「一枚の絵」として描くというよりは、絵の中のキャラクターたちが、「その世界で生きている」感じが出せるといいなと普段から意識しています。今回でいえば女の子が主役となる存在ですが、キャラクターと他のモチーフに関わりがあるような世界観を表現したくて、傘の柄に鳥を留まらせて、実際にそこにいるような動きをなるべく出せるようにしてみました。


以前、作家・望公太先生の『アイサレワールド』(HJ文庫)という作品で、初めて書籍の挿絵を描かせていただいたことがあります。その時に、自分の描いた絵と物語の文章が一つの作品になっていくことにすごく感動して、「1枚の絵として(だけでは)終わらない作品」が描けたらな……と思ったことが、こだわりの原点にあるかもしれないです。

▲ 望公太『アイサレワールド』(ホビージャパン、2015年)

絵を描く時は、事前準備とテンポ感が大切

▲MIKA PIKAZOさんが作成した今回のイラストの構成メモ

── 今回のメイキングで紹介いただいたポイントは、普段の制作にも通じる部分が多いかと思います。絵を描くときに特に気をつけていることはありますか?

趣味でアニメやゲームのキャラクターを描く時は、出来るだけ元のキャラクターの色使いを崩さないように意識しています。逆にオリジナルのイラストを描く時は、自分の考えている世界観、描きたい世界観を表現するために、準備段階の試行錯誤に時間をかけるようにしています。世界観を絵に投影するには、ラフにしっかり時間をかけて、全体の色合いや人物の表情のイメージを、早い段階から固めていくことが大切です。


ラフに時間をかけると、思い浮かべた世界観がブレなくなってきます。逆にラフに時間を取れなかったり、描きたいものがラフの時点でうまく固まっていないと、もともとイメージしていた絵が描けなくなってしまうんです。ラフをしっかり仕上げられたら、あとはテンポよく作業を進めることができるので、迷いなく描きたい世界を形にすることができますね。

── そうなんですね。テンポ感はどのようにして生み出すんですか?

私の場合は、音楽を聴きながら作業するようにしています。テンポのいい音楽を流していると作業もスムーズに進むので、作業を始める時はアップテンポなハウス系の音楽をかけることが多いですね。仕上げの時は、疾走感のある楽曲をかけています。Lady GaGa(レディー・ガガ)やSkrillex(スクリレックス)、他にもアニメ系の曲なんかも好んで選んでいます。ちなみに今回のイラストは和がテーマにある音楽を聴きたかったので、椎名林檎さんの曲などを聴きながら制作していました。


スムーズに……といっても、制作時間を短くするためにテンポを良くしているわけじゃなくて、むしろ絵を描いている途中に「このクオリティでは納得できない」と思えば、納得できる仕上がりになるまで手数をかけて描き直します。その試行錯誤を何度でも繰り返せるようにテンポを良くしていく……そんな感じです。ここでどれだけ妥協せずに進められるかで、満足いく絵に仕上がるかが決まってきますね。

精神的な変化が、プロとしての意識を持たせてくれた

── 続いて、プロのイラストレーターとしてご活躍されるまでのエピソードについて教えてください。絵を描きはじめたのはいつ頃からですか?

2~3歳くらいから絵は描いていたみたいです。物心ついた頃からずっと絵を描くことが好きだし得意だったので、いずれプロのイラストレーターになりたいと思っていました。


でも、実はうまくいかないことのほうが多くって、実際に自分が何をしたかって振り返ると、イラストレーターとして食べていくための努力はできていなかったんです。


でも、20歳くらいで”自分の未熟さ”に気付かされる出来事があって……一度は絵の道で生きていくことを諦めようかとも考えましたが、やはり「絵を描くことが好きだ」と感じて、そこから仕事として生きていける絵を描くことを目指すようになりました。

── ”大きな転機”があったのですね。どのような体験をされたのですか?

高校卒業を間近にして、自分の居場所がどこにあって、自分はこれからいったい何をしたいのかがわからなくなってしまいました。それで、卒業してすぐに、身内のツテでブラジルに滞在することにしたんです。一度外の世界を見てみようと思って、約2年間すごしました。


プロを諦めきれない、すごく悶々としていた時期だったので、日本を離れたことでかえって絵で生きていくことを強く意識できるようになったのかもしれません。そんな頃に、とあるソーシャルゲームのイラスト制作の依頼をいただいたんです。これこそ、自分が目指していた「イラストレーターのお仕事」そのものでした。絵を描き進めるうちにと、これからもこうやって”仕事として絵を描きたい”という想いが強く湧いてきて——これまでにないくらい気持ちを込めて描いてみました。


完成したイラストを見てみたら、「こんな自分にも何か出来ることがあるんじゃないか」と思えてきたんです。それがプロになりたいという気持ちを蘇らせてくれました。絵で仕事が出来たことが本当に本当に嬉しくて、「やっぱりこの世界で生きていきたい。絵を描くことは自分自身が世界とつながれる方法なんだ。」と改めて感じたんです。今振り返ってみると、本当に大きな転機でしたね。

花冠の少女

by Mika Pikazo

▲プロとして活躍するMika Pikazoさんの作品

──ひとつの仕事が、プロとしての自覚をもたらしたのですね。

そうですね。「どんなイラストを求められているか」と考えられるようになったことで、仕事としてのクオリティーを出せるようになりました。あとは、ブラジルでの出会いが自分にとって大きな心情の変化をもたらしました。


もともと自分はサブカルチャーとか、アンダーグラウンドとか、王道ではないものが好きだったんです。でも、学生の頃は大きな声で自分が本当に好きなものを言える環境ではなくて……。誤解を恐れずに言うと、日本人って同調性が強いところがありますよね。みんなが好むものを同じように好む傾向がある。自分みたいな人間が好きなものを主張すると、まわりの大人や同級生から批判されたり笑われたりすることもあれば、理解してもらえず「好きでいちゃいけないのかな」と心が揺らいだ経験もあります。そうして過ごすうちに、次第に自分が好きなオリジナリティーを追求しなくなっていったんです。


けど、ブラジルで出会った同世代の人たちはみんな大人びていて、とても寛容でした。国籍も違えば、肌の色も違う。考え方もさまざま。誰を否定するわけでもなく、むしろ違いを受けいれてくれるというか。まったく違う見た目をして違う趣味を持っている人たちが、皆で集まって楽しく話している。そんな出会いを通じて、「みんな違ってみんないい」と思うことができるようになりました。私にしか描けない絵を、私なりに表現してもいいんだなって。


だからあのとき思い切って国外へ出てみたのは、結果的に良かったなって思っています。周囲の人からは、ブラジルに行ったことで「色使いのバリエーションが増えたね」って言われることも多いですが、私にとってはそうじゃなくて、自分が”クリエイト”をすることを素直に肯定できる気持ちになれたことが一番大きな収穫でした。

好きなことを追求すれば、道は開ける

── 今後、Mika Pikazoさんが挑戦したいことを教えてください。

音楽や映像など、自分とは異なる分野で活躍している人たちと関わっていきたいです。先ほどのエピソードにもつながるのですが、「誰かの作品に自分の絵が携わっている」という感覚をもっと味わいたいと思っています。


なにより、辛い時やどうしようもない時に「もうちょっと頑張ってみよう」と背中を押してくれた尊敬するクリエイターさん達への感謝の気持ちも込めて、自分も絵で何かを投げかけることができたらと考えています。

──最後になりますが、Mika Pikazoさんのファンと将来プロを目指すイラストレーターの卵たちにメッセージをお願いします!

私の「もっと上手くなりたい」という気持ちの根源は、「絵が好き」という気持ちでした。ブラジルに行く前は、自分が好きなものに対して理解を得られなかったこともありましたが、それでも周りのことを気にせず、自分の「好き」を追求できたからこそ今があると思っています。好きなことが自分を救ってくれたんです。


「好き」の対象は必ずしも絵である必要はないと思っています。例えば音楽でも、聴くことに没頭するうちに、その影響が絵に自然と表れてきたりします。

好きなもの、趣味を追求することで、その人にしか描けない世界が生まれてくるんです。


なので、「これがやりたいことだ」と思えるまで、好きなことを突き詰めてみてください。いろんなものに触れたり見てみたりしてください。自分の方向性を決めるのは自分自身なので、その直感を大切にしていけば、おのずと道は開けていくと思っています!

自分の気持ちに正直に向き合ってみよう

Mika Pikazoさんの力強いメッセージは、イラストレーターになることを夢見る若い世代の背中を押してくれますね。senseiでは、Mika Pikazoさんが描かれたメイキング映像を公開中です。Mika Pikazoさんが特にこだわった世界観が作り込まれていくラフや、色を重ね塗りすることで質感を出していくテクニックは、将来プロを目指す人にとても参考になるはず!ぜひチェックしてみてください!


▼Mika Pikazoイラストメイキングコースはこちらチェック!

Mika Pikazo
  • Mika Pikazo
  • 東京都在住。
    高校卒業後、南米の映像技術や広告デザインに興味を持ち、約2年半ほどブラジルへ移住。
    そのあと日本へ帰国し、ゲームのキャラクターデザインや書籍のイラストなど中心に手がける。
    落ち込んだらハンバーグ食べて元気出すくらいハンバーグ好き。

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