雨にも風にも腰痛にも負けず!縁の下のヒーロー『ガイコツ書店員 本田さん』

文/ひらりさ
お医者さん、ナース、学校の先生、お寺の住職、居酒屋バイト……などなど。この世には多種多様な職業を描く「お仕事もの」コミックのエッセイがあふれています。
自分の知らない世界をのぞいて楽しんだり、身近な仕事の裏側に驚いたりしているうちに、「自分も頑張ろう」と思えてくるのが、その醍醐味。そんなお仕事もののなかでも、独自のテイストとリアリティを放っているのが『ガイコツ書店員 本田さん』です。

「異世界ものなのか?」と勘違いしてしまいそうなタイトルと表紙の本作ですが、リアルな書店でコミック担当として働く作者・本田さんの大忙しな日常を、実在の作品名なども匂わせつつ、愉快に綴った作品です。
多くのマンガ好きにとっては、なじみある場所である書店。しかし「お客さんに本を売る」という仕事は、シンプルで誰にもできるようで見えて、地味にハード。日々のこまかくて体力が必要な業務をこなしつつ、膨大に刊行される書籍・雑誌の知識をアップデートしつづける必要があるのです。

たとえば、毎日怒涛のように送られてくる新刊を、ただ機械的に棚に出すだけでは、書店は成り立ちません。コミックだけでも、届いた瞬間に棚出ししないと「書籍扱いコミック」と、発売日をきっちり守って棚出しすべき「雑誌扱いコミック」があり、これを区別・認識しながら棚出しを行わないといけないのだとか。わ、わからなすぎる〜〜〜!


お客さんからの問い合わせも、一筋縄ではいきません。初対面で好みがわかりかねる人たちからの「なんかオススメのマンガありますか?」に精一杯答えたり、最近は海外観光客の来店も増えており、なんと英語での問い合わせに対応しなければならないことも……。はるばる海を越えてやってきた腐女子のアツいハートに響くBLの提案も、書店員の大切な仕事なのです。

出版社の書店営業とコミックス入荷数を交渉したり、メディアミックスにあわせたフェアの準備に右往左往したり、漫画家さんの訪問にどぎまぎしながら立ち会ったり、店舗をまたいでの接客研修におもむいたり、新刊補充の運搬で腰痛におちいったり……。そんな毎日の業務が、コミカルで力強い筆致で描かれており、ふだん何気なく足を運んでいた「書店」という場所が、多くの人の想いと仕事によって成り立っていることへの「尊さ」がひしひしと感じられるのです。

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