音楽には語り合う場が必要。いま同人音楽に足りないものとは?【APOLLO放送局 Day1】
文:近藤 世菜
ネット音楽マーケットイベント「APOLLO」。同人音楽シーンのさらなる発展を目指して始まったこのイベントも、今回で4回目の開催となりました。
2016年6月17日(金)から19日(日)までの、3日間にかけて行われた第4回APOLLOでは、イベント期間中、毎日異なるスペシャルゲストを招いた特別番組の生配信を実施。今回は、その様子をダイジェストで紹介します!
1日目となる6月17日(金)の配信では、APOLLOの発起人である AnitaSunさん、同人音楽レーベル「Diverse System」を主宰しているYsK-与作さん、APOLLOのプロデューサーのりおの3人が登場し、同人音楽シーンについて幅広く語ってくださいました。
2016年6月17日(金)から19日(日)までの、3日間にかけて行われた第4回APOLLOでは、イベント期間中、毎日異なるスペシャルゲストを招いた特別番組の生配信を実施。今回は、その様子をダイジェストで紹介します!
1日目となる6月17日(金)の配信では、APOLLOの発起人である AnitaSunさん、同人音楽レーベル「Diverse System」を主宰しているYsK-与作さん、APOLLOのプロデューサーのりおの3人が登場し、同人音楽シーンについて幅広く語ってくださいました。
APOLLO放送局1日目の出演者は……
- YsK-与作
- 同人音楽レーベル「Diverse System」を主宰。APOLLOにもサークル参加している。
- のりお
- ピクシブ社員。プロデューサーとして、APOLLOの企画・運営を担当している。
APOLLOは同人音楽業界の危機を救うために生まれた!
──AnitaSunさんはAPOLLOの発起人なんですよね。APOLLOはどういった経緯で始まったんですか?
AnitaSun:ピクシブのBOOTHっていうサービスをもっと面白くするアイデアはないかってご相談をいただいて。そのとき、同人音楽の即売会をネットでやったらどうかっていうのを提案したんですよ。まあ、絵を描いたのは僕だけど、実現させてくれたのは、のりおさんです。
のりお:そのころ、イラストだけじゃなく、音楽関係のクリエイターもpixivで盛り上げていきたいなって思っていて。たまたまAnitaSunにお会いする機会があって、できあがったのがAPOLLOです。
──なにか理由はあったんですか?
AnitaSun:当時、同人音楽が活発に発表されていたニコニコ動画のランキングが、固定化しちゃったからです。ランキングの付け方はいろいろありますが、単純なPV方式って”勝者総取り”の世界なんですよ。トップのアーティストが固定ファンを大勢集めちゃうと、新しいアーティストはランキングに出て来にくくなってくる。いくら楽曲のクオリティが高くても、なかなかTOP20に入れないんですよ。
だから、リスナーは常にランキング上位にいる、同じアーティストの曲しか聴かなくなる。でも、その人たちも1、2年もすると飽きてくるんです。それでリスナー全体の人数がどんどん減っていく一方、新しい人も出てこないから新規のファン層の獲得ができなくて。これ、やばいなーって思ってました。
──その話を聞いたとき、のりおさんはどう思われたんですか?
のりお:BOOTHのプラットフォームに乗せやすいし、AnitaSunさんがやってる「同人音楽超まとめ」ってサイトも個人的に見ていて、すごくいいなと思っていたので、直感的に面白そうだと思いましたね。実際開催してからも、ユーザーさんからの反応がすごく熱量のあるものだったので、やってよかったなと思ってます。
AnitaSun:APOLLOってCDショップの売り場と同じイメージなんです。実は昔、バイトしてたことがあるんですけど。陳列するとき、CDとCDの間にすき間を作っちゃいけないんです。すき間があると売れない。逆に詰めれば詰めるほど、どんどん売れるようになるんです。
APOLLOもそれと同じように、ジャケットが所狭しと並んでるじゃないですか。昔Amazonのウィッシュリストで同じことが出来ないか試したけど、どうしても余分な空白が入ってしまって諦めたんです。正直、すき間って、売り場づくりの考え方からすると、意味ないんですよ。あくまで頒布作品が主体ですから。
作品と作品の間に空間をたっぷりあけて、「キレイなサイトデザインでしょ」っていうのは、もちろん大切ですけどまた別の話なんです。
APOLLOもそれと同じように、ジャケットが所狭しと並んでるじゃないですか。昔Amazonのウィッシュリストで同じことが出来ないか試したけど、どうしても余分な空白が入ってしまって諦めたんです。正直、すき間って、売り場づくりの考え方からすると、意味ないんですよ。あくまで頒布作品が主体ですから。
作品と作品の間に空間をたっぷりあけて、「キレイなサイトデザインでしょ」っていうのは、もちろん大切ですけどまた別の話なんです。
のりお:APOLLOだと店舗と同じようにジャケ買いができるじゃないですか。それってネット上だとめずらしいことだと思うんですよ。
AnitaSun:その理由は単純で、普通のECサイトって1画面に多くても5枚くらいしかアルバム並べられないでしょ。店舗だったら100枚くらい一気に目に入ってくるのに。ばっと見で100枚くらいはないと、直感的にジャケ買いなんてできないんですよ。APOLLOはこうやってスクロールすれば100枚くらい見られるじゃないですか。
▲APOLLOの会場に並ぶ頒布作品。
のりお:店舗でも、縦になってたり、平積みされてたり、ジャケットが見えないように並んでるコーナーが多いから、むしろAPOLLOの方がジャケ買いに適してるかも……。
AnitaSun:そうですね。だから、店舗でもランキングとか特集とかのコーナーはジャケットを見せて陳列するんです。面陳っていうんですけど。
のりお:APOLLOはWebならではのよさを活かした、ジャケ買いできるコンテンツサイトってことですね。
同人音楽関係者はAPOLLOをぶっちゃけどう思ってる?
──実際にAPOLLOに参加されているYsK-与作さんにとって、APOLLOはどんな存在ですか?
YsK-与作:曲を出す側からすると、正直、いつもなら出しにくいものが出せる場所ですね。期間中は、いろいろな人がAPOLLOに注目してくれるから、メジャーな場所では評価されないだろうなってものを出したり、過去の作品を復活させたりもします。実は今回、絶版作品だけ並べてるんですよ。
AnitaSun:いいですね! まさにそういう風に使ってほしかった!
YsK-与作:あと、APOLLOに来る人って、コミケやM3とはまた違った層の人たちだと思うんですよ。だから、初見の人たちに向けてお得なパックを作って「よかったらこれを聞いていって!」っていう感じ。それから、ダウンロードならその場で手に入るっていうメリットも大きいですよね。
YsK-与作:ダウンロードの話に関連してなんですが、セキュリティーだのコピー防止だのっていうの、ちょっとは気になるんですよ。でも、ここ3年くらいで、それはもうあんまり気にしなくていいのかなって思い始めました。
今の若い人たちって、CDショップでYouTubeの動画を見せながら「これないですか?」って聞くらしいんです。以前の僕の感覚だと、YouTubeで音楽聴くような人たちってもうCD買わないんじゃないかと思ってたんですけど、実はデジタルデータから知って、そこからお金を払って自分のものにしたいって人たちが増えてるんですよね。
だからAPOLLOもそういう導入的な感じで使っていきたいです。
今の若い人たちって、CDショップでYouTubeの動画を見せながら「これないですか?」って聞くらしいんです。以前の僕の感覚だと、YouTubeで音楽聴くような人たちってもうCD買わないんじゃないかと思ってたんですけど、実はデジタルデータから知って、そこからお金を払って自分のものにしたいって人たちが増えてるんですよね。
だからAPOLLOもそういう導入的な感じで使っていきたいです。
それから、APOLLOにはどんなお客さんが来るのかイマイチよくわからないなと思っていて。その情報がもっと知りたいかもしれません。どんな人が来てるのか、体感的に知りたい。
AnitaSun:それで言うと、普段音楽を聞かないような層も入ってくるのが特徴かもしれませんね。pixivがやってるイベントってことで、イラストレーターさんとか。絵を描くときのBGMとして使ってくれるとうれしいです。それから、TwitterのAPOLLOアカウントにリプライくださる人のタイムラインを見てみると、客層がつかめるかもしれないですね。