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インタビュー
2017.06.15

押井守流バイオはジルが主役? 『バイオハザード:ヴェンデッタ』大ヒット記念「辻本貴則×押井守スペシャルトーク」

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

取材・文:近藤世菜 編集:長谷憲

現在絶賛公開中の『バイオハザード:ヴェンデッタ』は、バイオハザードシリーズ第3弾となるフルCGアニメーション映画です。


主役はシリーズを代表するキャラクター・クリス・レッドフィールドとレオン・S・ケネディのふたり。大規模バイオテロを阻止するため、"死の商人"グレン・アリアスに挑みます。

2017年6月13日(火)には、本作のヒットを記念した「大ヒット御礼上映会」が開催され、監督の辻本貴則さんと、彼が師と仰ぐ押井守さんのスペシャルトークショーが行われました。制作の裏話や、押井流バイオハザード談義など、短い時間ながらも大いに盛り上がった対談の様子を、あますことなくレポートします!

師匠・押井さんからのダメ出しに、辻本さんもタジタジ

辻本さんは本作のオファーを受けてすぐ、押井さんに相談をもちかけたと言います。はじめは、押井さんが「1番重要だ」と語るギャラ交渉に関するアドバイスがほとんどだったそうですが、撮影中は製作途中のCG映像を持って行って見てもらっていたんだとか。

辻本貴則さん(以下:辻本):本当はいけないんだけど「あ、こんなところにパソコンが!」って感じでちょっと見てもらったりしてました。それがレオンとケルベロスっていうゾンビ犬がバイクでチェイスするシーンなんですけど、実はダメ出しがあったんですよね?

押井守さん(以下:押井):今さら言ってもしょうがねえなって思って。動きがどうこうじゃなくてモデリングの問題だから。あれドーベルマンでしょ? 生のドーベルマン見たことある?

辻本:ある……はずです! でも、押井さんみたいにいやらしい目で頭からお尻まで見てるわけじゃないです。

押井:いや、本物のドーベルマンを見たらあの脚はない。ちょっと太すぎるんだよな。

辻本:車を押しつぶしたりするから、スタッフが気をきかせて太くしてくれたんですよ。正直、僕も太いなって思いましたよ(笑)でも誰かがよかれと思ってやってくれたことは、そんなに嫌じゃなかったら否定できない性格なんです。

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

押井:まずほめるといいんじゃない? ここはいいんだけど、ここはもっとこうやるといい、みたいな。

辻本:たしか他のところを言うために脚は我慢したんですよ。たとえば5つ直してほしいところがあったら、3つを成就させるために2つは我慢するじゃないですか。

押井:俺はしないけどね(笑)脚以外に何が問題だったの?

辻本:もうちょっとゾンビ感を出してほしい、グロくしてほしいってことだったと思います。

押井:ミラ版(※1)みたいなね。半分腐ってる感じの。

※1:実写版『バイオハザード』シリーズ

辻本:そうです!

押井:別に俺は好きじゃないけどね(笑)

辻本:でもCGはいいでしょ? 血しぶきとか。血が嫌いなのは知ってますけど。

押井:血しぶきは『無国籍』でやってから意外と好きになったんだよ。

辻本:『東京無国籍少女』ってあんまり知られてない映画ね。

押井:お前の犬出てんじゃん!

辻本:うちの「むーちゃん」って犬が出てるんですよ。

押井:あれでほとんど初めてってくらいで血をやったの。そのとき自分は意外と血が好きだってことが判明して。

辻本:爽快感ありますよね。

押井:間になるんだよね。「パッ」ていうさ。いい間合いができてリズムが作りやすい。あと色的に血って普通赤じゃん? プレデターは緑だけど。

辻本:デビルマンも緑ですね。

押井:赤っていうのはさ、映画のなかでポイントのひとつになる。だから赤い血って意外といいなって気付いた。

辻本:(気付くのが)遅い!

押井:お前は使いすぎなんだよ!

押井流バイオハザードはジルとヘレナが主人公?

そして話題は、ふたりが押井さんのメールマガジン上で行ったという非公式のバイオ対談についてへ。

辻本:『ヴェンデッタ』を本気で語るのを製作委員会に何も言わずやったんですけど、そのなかで押井さんが次のバイオ(の監督)狙ってるんじゃないかってにおいがしたんですよ。

押井:狙ってるわけじゃないけど、オファーがきたら絶対断らない(笑)

辻本:それを狙ってるって言うんですよ(笑)

押井:売り込んでるわけじゃないけど、私だったらこうするっていうのがあるわけ。

辻本:どうせ男性キャラには興味ないんでしょ?

押井:ないね。ぜんぜんない。

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

辻本:今回のレベッカはどうでした?

押井:下から数えて2番目くらい。

辻本:バイオの女性キャラのなかで下から2番目? でも今回のキャラとしての出来はよかったでしょ?

押井:うん。出来はよかった。ただ私の好みではない。だって小娘だもん!

辻本:ほめてもらったのは、この2人(クリスとレオン)がいて、その間に色気のあるお姉ちゃんがいると取り合いになるから、レベッカくらいでちょうどよかったと。

押井:関係性が崩れちゃうからね。

辻本:今回に限りレベッカで正解と。ただ、自分で撮るんなら……?

押井:というかそもそも、この2人(クリスとレオン)を主役にする気はまったくないから。

辻本:誰を主人公にしますか?

押井:やっぱりジルでしょ。ジルがダントツ。2位、3位はいないくらい。

辻本:(会場が)若干引いてますよ(笑) ほかに出すとしたら?

押井:ジル単品でもできるけど、いつも言っているように、キャラクターっていうのは……

辻本:「対になる」。

押井:そう。ジル単体だと動機がなくなるから、動機になる相手が必要。少なくともそれは男ではない。

辻本:ただの女好きみたいに聞こえますけど(笑)

押井:女好きっていうんじゃなくて、映画としてね。女性が主人公で相手が男だとそういうドラマになだれ込んじゃうじゃない? というか、そういう前提でしか観てもらえない。それが嫌だ。


だから女性2人にして、バリバリにハードにしたい。

辻本:ジルの相手役、ヘレナがいいんでしたっけ?

押井:あんまり有名じゃないんだけどね。

辻本:(ゲーム版)『6』のとき、レオンの周りをうろちょろしてた人ね。シャツの襟立てて、胸のところはざっくりっていう。

押井:ファッションセンスはよくない。レオンに岡惚れしてるんだけど、レオンはエイダのことしか見てないのね。

辻本:このおじさんがやたら詳しいんですよ(笑) あ、実はパンフレットにも対談が載ってるのでぜひ。それで、ジルとヘレナだったら敵はどうしましょう? 敵も女性ですか?

押井:理想を言えば。一時は親父ばっかり撮ってたんだけど、もう嫌になったんだよ。若いお姉ちゃんもあんまりやらないし。バランスで言っても、どんな男を出したってダメなの、クリスでもレオンでも、ましてやウェスカーなんてぜんぜんダメ。だから動物系……やっぱり犬かな。

辻本:それは飼ってるの?

押井:それが肝になるんだよ。それか子どもだな。女性だから。

辻本:それは、カプコンの人にジルに子どもはいないって言われるんじゃ……

押井:いや、ジルの子どもっていうんじゃなくて! 自分の子どもじゃないの。

辻本:あれだ! 『エイリアン2』のときのニュート(※2)みたいな。

※2:『エイリアン2』の登場人物。エイリアンからの襲撃を生き延び、スラコ号に救助された少女。主人公リプリーと親子のような絆で結ばれる。

押井:そう。子どもがでると母性の問題が絡んでくるから、キャラクターに奥行きが出る。バイオの女性キャラは戦う女だから、そっちの方向ってあんまり描かれないじゃない。エイリアンのリプリーも、最後は母性に還った。女性キャラのひとつの落としどころとして母性っていうのがあるわけよ。

辻本:カプコンの小林(裕幸)さんが今のいいなって思ったらどうしよう。あわよくば、次(の監督)も僕がって狙ってるんですけど……!

押井:あんまり同じもの続けて撮らないほうがいいよ。

辻本:やっぱり狙ってるじゃないですか!

バイオハザードの魅力は新しいモーションの「快感原則」を生み出したこと

実はバイオハザードにかなり詳しいということが発覚した押井さん。ハマったきっかけはYoutubeのプレイ動画だったとか。

押井:ゲームは難しそうだから自分でプレイする気はまったくなかったの。でもキャラクターが気に入ったんだよね。あと、モーションに関する新しい「快感原則」を生み出したってところ。アニメの人間だからモーションの「快感原則」には敏感なの。それが『バーチャファイター』以来の衝撃だった。

辻本:セガ対カプコンみたいになってる……!

押井:俺はメーカーとか気にしないから。アニメーションって、何かが動くときに生じる「快感原則」で成立してるわけ。(バイオハザードは)パンチ、キックだけじゃなく銃器がからんでくる。これは新しいなって。

辻本:これまで『バーチャファイター』しか見てなかったんじゃないの?

押井:いや、手広く見てるんだよ! そのなかでアンテナに引っかかったのがバイオハザードの『5』と『6』だった。

辻本:次の監督完全に狙ってますね……!

押井:格闘は格闘だけ、銃撃戦は銃撃戦っていうのが多いなかで、『バイオハザード』には新しい「快感原則」の可能性を感じたんだよね。動き回りつつ、撃ちまくりつつっていう。

辻本:まさにこの映画のことじゃないですか! (押井さんは)いい人ですね!

押井:いや、そういうつもりじゃなかったんだけど(笑)

ジルとヘレナを主役に据えた押井流『バイオハザード』、ぜひ観てみたい……! 辻本さんの続投か、はたまた押井さんが監督の座を射止めるのか。すでに次回作への期待がふくらみます。


大盛り上がりのトークショーは、辻本さんの「まさかあの押井守が自分のトークイベントの相手になってくれるなんて……! またこんな日が来てくれるように、いい作品をどんどん作っていければいいなと思います」というコメントで幕を閉じました。

映画本編はバイオファンにはたまらない演出の連続!

(c) 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

肝心の映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』は、とにかく最高の出来! 冒頭でクリスがアリアスのアジトである謎の洋館に乗り込むシーンは、ゲーム版の『1』を彷彿とさせる瞬間の連続で、制作チームのシリーズやファンに対する愛をひしひしと感じました。


そしてクリスとレオンという、シリーズを代表するふたりが共闘するアクションシーンは震えるほどうれしいもの。上映中何度も「カッコいい……!」という声がもれてしまいました。


ほかにもオマージュやお馴染みのシーンが多数盛り込まれていて、ファンにとってはたまらない作品となっています。


さらに、バイオならではの迫ってくるような恐怖、アイソレートビューを思わせるカメラワークの戦闘シーン、息もつかさぬハードなアクション……と映画としてのエンターテイメント性もバッチリ。


バイオハザードシリーズの知識がなくても楽しめること間違いなしなので、家族や友だちをバイオ仲間に引きずり込む、いいきっかけになりそう!

『バイオハザード:ヴェンデッタ』は絶賛公開中!

『バイオハザード:ヴェンデッタ』は、全国の映画館にて絶賛公開中! 6月17日(土)からは、数量限定の入場者プレゼントとしてオリジナルステッカーが配布されます。


バイオハザードファンはもちろん、ビギナーにもぜひ観てもらいたい『バイオハザード:ヴェンデッタ』。最新技術を駆使したフルCGアクションが生み出す爽快感と、バイオシリーズならではのヒヤッとするような恐怖感をぜひ劇場で味わってください!

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