街へ出よ、テクスチャ素材を探そう。壁の質感でかばんを作るアーティストと街歩きしてきた
カガリさんのおすすめ「浅草橋駅」で待ち合わせ
カガリさんとは当日、JR総武線浅草橋駅前で待ち合わせをしました。
カガリさんいわく「下町である浅草橋は古い物件が軒を連ねており、1〜2時間探索すればまず間違いなく”いい壁”が見つかるエリア」なんだそうです。
挨拶もそこそこに、さっそく「街中テクスチャ」探し、スタート!
カガリさんいわく「下町である浅草橋は古い物件が軒を連ねており、1〜2時間探索すればまず間違いなく”いい壁”が見つかるエリア」なんだそうです。
挨拶もそこそこに、さっそく「街中テクスチャ」探し、スタート!
カガリさんはもともと高架下や夜の街が好きだったそう。そして、自分の好きなものを写真におさめていくうちに、いつしか「壁写真」に移行していったんだとか。
壁を撮るようになったのは自発的だったものの、「壁写真」に関してカガリさんに影響を与えた人がいます。それは、同時多発的に壁写真を撮っていた壁写真の先輩、杉浦貴美子さん。杉浦さんは壁の写真を集めた写真集も出版されています。
普段見過ごされがちな壁をこんなに愛する人がいらっしゃることに驚きました。
もともと街中で気になるものをよく写真に撮っていた私ですが、今日一日でより壁の魅力が分かればうれしいところ。
壁を撮るようになったのは自発的だったものの、「壁写真」に関してカガリさんに影響を与えた人がいます。それは、同時多発的に壁写真を撮っていた壁写真の先輩、杉浦貴美子さん。杉浦さんは壁の写真を集めた写真集も出版されています。
普段見過ごされがちな壁をこんなに愛する人がいらっしゃることに驚きました。
もともと街中で気になるものをよく写真に撮っていた私ですが、今日一日でより壁の魅力が分かればうれしいところ。
「『壁写真』を撮りに行くというのは初めての経験なんですが、壁写真を撮るコツってありますか」
「壁写真を撮る一番のコツは、旅気分でやることですね」
「旅気分……?」
「旅先ってテンションが上がっていろいろ写真撮っちゃうじゃないですか。あの気分で撮るのが一番いいんですよ」
「なるほど!」
「自分の行動圏内だと、わざわざ写真撮りませんよね。それは”見えてない”からです。
たとえば、ある人が毎日通っているルートにある壁を、ぼくが撮って見せたとします。すると、毎日その壁を見ているはずの人が『こんなのどこにあるの?』って思うこともあるんですよ」
たとえば、ある人が毎日通っているルートにある壁を、ぼくが撮って見せたとします。すると、毎日その壁を見ているはずの人が『こんなのどこにあるの?』って思うこともあるんですよ」
「つまり目には見えてるけど、脳で処理されてないんですよね。
視点を開放するには、旅先にいるような解放感を持つことが大切です」
視点を開放するには、旅先にいるような解放感を持つことが大切です」
「それじゃあ今日は、二度と訪れない秘境に来た気分でやります!」
と、ここで”いい壁”発見?
「あっ!」
「あの壁というかシャッターはどうです?」
「うーん、わりとよく見るやつですね」
「おお……『わりとよく見るやつ』ですか」
「普段から『壁写真』を何万枚も撮っていると、『前撮ったことがある種類の壁だからいいや』になりがちなんですよね」
「うむ……(カガリさんを唸らせる壁を今日中に見つけたい……!)」
表面が爛れた壁に興味津々の撮影クルー。
じゃん! 撮りました。風合いありますね。
この日は快晴のため、コントラストが色濃く出ます。私のようにテクスチャとして使う目的なら最適のお天気ではないかと。
ただ、カガリさん的ベストは曇天だそう。
この日は快晴のため、コントラストが色濃く出ます。私のようにテクスチャとして使う目的なら最適のお天気ではないかと。
ただ、カガリさん的ベストは曇天だそう。
「昔は工事現場も、缶コーヒーの一本でも差し入れたら入れてくれたんだけどなー」とカガリさん。
防犯とか防災とかの面で厳しくなってるんでしょうね。
防犯とか防災とかの面で厳しくなってるんでしょうね。
高架下を離れ、景色が市街地っぽくなってきました。
「この壁は……どうですか?」
「……撮っておきますか」
「(やったー! とりあえずファーストインプレッションが『ありがち』じゃない)」
「ひび割れいい感じですね」
「ひび割れを補修してある壁ですね」
「このまま放置するパターンもよく見かけますが、この(所有者の)方は直すんですね」
「あ、ここだけ素材の収縮率(※1)が違うので、ひび割れが激しいですね」
「(シュウシュクリツとはなんだ……)」
※1 収縮率…プラスチックや樹脂が液体から固体に変化する際に減少する体積の比率のこと。こうした言葉がすんなり出てくるのも、ものづくりをしてる人という感じがします。
印象に残ったのは、カガリさんは壁になんらかの違和感を感じると「どうしてこの壁はこうなったんだろう?」というところまで考えるということ。考え方が学者っぽい!