小説家志望さん必見!三浦しをんと盃をかわす、豪華すぎる「小説講座」潜入レポート
三浦しをんが、何度も山形に足を運ぶ理由
これだけでも「2000円でこんな話が聞けていいの!?」と驚愕しそうになる山形小説家・ライター講座。なんと、講座のあとは講師と同じテーブルを囲んで、飲み食いしながらおしゃべりできる「懇親会」も用意されていました(※要会費、講座による)。
私も懇親会に参加させてもらい、山形の美味しい日本酒を飲み、鍋をつつきながら、講座後の三浦しをんさんにお話を聞かせてもらうことに……。
── 講座、とってもおもしろかったです! 単発で参加しても情報量がすごくて。文体や書き方を考えるうえで「倫理」が大事という話、とても身にしみました。
三浦 毎回みなさん熱心で、提出されてくる作品のレベルも高いんですよ。それでいて、どの作品にもユーモアもあって……。一人ひとりがすごく真剣に創作に取り組んでいるのが伝わってくる。
講座中も、作品を提出していない方も含めて、みんなで意見を言い合い、その場をつくりあげるムードがあるので、講師として参加していても楽しい。だから何度も来たくなりますし、自分自身の創作について振り返る機会にもなりますね。
── 三浦さんにとっても、「みんなで言い合う」というのは楽しいポイントなんですね。
三浦 文章を読んだら読んだ人の数だけ感じ方があるのは当然で、それを自由に言い合えるって、素晴らしいことですよね。私自身参加者さんの感想を聞いて「ああ、そういえばそうだよな〜」と気付かされるときもある。作家や編集者が一方的に言うだけではなく、いろいろな立場の人の意見が聞けるのは、私にとっても得がたい経験です。
「この小説を書きたいんだ!」という熱意を感じたい
── 三浦さんは、すでに何度も講師をつとめられてますよね。この講座に参加したり、新人賞の選考をしてきたりしたなかで感じる、時代の変化はありますか?
三浦 講座でも新人賞でも、投稿作品のレベルはどんどん上がってますね。みんな、文章がうまくなっている。これは、メールやLINEで手軽にテキストコミュニケーションがとれるようになり、文章を書く機会が増えているからじゃないかと思います。ただ、その弊害もあって。
── どんなことでしょう?
三浦 「この小説を書きたいんだ!」という情熱があまり感じられない作品が増えているようには思います。
── つまり、「書けるから書いてみました」というふうに感じられるということでしょうか?
三浦 そうですね。新人賞の選考をしていると、「もっと熱意のあるものを出して!」と思うことがあります。でも……これが山形小説家・ライター講座の大きな魅力だと思うんですが、この講座で出てくる作品には、そういうことがないんです。
── おお。
三浦 「私はこれが書きたいんだ!」というのが、どの作品からも伝わってくる。そういう人がかなりの人数いる空間だというだけでも、貴重だと思います。それでいて和気あいあいとしてますし、こうした懇親会もあるので、初めての方にもぜひ気軽に参加していただきたいですね。
── 「私も何か書いてみようかな……」と思わせられる、素敵なお話でした。ありがとうございました!
酒をくみかわしながらの懇親会は大盛り上がりでしたが、私は日帰り旅ということで一足先に解散。今度来るときは温泉や米沢牛も堪能するぞ……! という気持ちを込めて、山形を後にしました。(同行したpixivision編集部・Sさんによると、その後の2次会まで大いに盛り上がったそう……!)
あまりにも濃密すぎる時間を過ごせる山形小説家・ライター講座は、毎月第四日曜日の開講。「日曜はちょっと厳しそう……」という方には、第四土曜日に仙台でも同じ内容の開講があります。
今回は日帰りだったので堪能できませんでしたが、しぼりたての日本酒、脂がのった米沢牛、四季折々のフルーツ、ゆったり浸かれる温泉……など、山形には本講座以外にもさまざまな名物があります。近隣の方はもちろん、遠方の方も、観光もまじえながら一度参加してみてはいかがでしょうか? きっと、「書く」ことが今よりも楽しくなるはずです。
三浦先生回の講評・本講座の情報はこちらをチェック!
今回取材した、三浦先生回の講評も全て読める! 「ピクシブ文芸 山形小説家・ライター講座『講座だより』」はこちらからチェックくださいね。
山形小説家・ライター講座とは
【講座概要】
1997年4月、直木賞作家である高橋義夫氏を講師として「小説家になろう講座」の名称でスタート。その後、山形市在住の文芸評論家池上冬樹氏が引き継いだ文学講座。
2017年度は、今回特集した三浦しをんをはじめ、夢枕獏、江國香織、村山由佳、京極夏彦など、豪華な講師陣がをつとめる。※敬称略
●日時
毎月第4日曜日
午後2:00~(午後4:00終了予定)
●場所
山形市 遊学館 3F 研修室
(山形県山形市緑町1丁目2-36)
●受講料
1回受講 一般2,000円、大学生1,000円、高校生以下無料