「ひとりではできない大チャレンジを!」人気イラストレーター・rurudoが渋谷の一等地でPOP UP SHOP開催に踏み切った理由
インタビュー/原田イチボ
人気イラストレーター・rurudoさんの集大成とも言える「“FALLEN”(フォールン) rurudo POP UP SHOP」が、東京・渋谷にある「ZeroBase渋谷」で2025年8月31日(日)まで開催中。描き下ろしイラストを使用したオリジナル商品の販売はもちろん、等身大フィギュアの展示などもあり、POP UP SHOPの枠に留まらない見応えたっぷりのイベントです。
約1年間を準備に費やして、rurudoさんがこのイベントで達成したかったこととは? 開催前日、一足先にPOP UP SHOPを訪れたrurudoさんに注目ポイントを教えてもらいました。

- rurudo(るるど)
- フリーのイラストレーター。繊細な描写と美しい世界観で描かれるイラストが特徴。
自身の手がけるオリジナルキャラクターは人気を博し、数多くのフィギュア化が実現している。2021年に画集『UNREAL』を出版し、同年には個展『PLAYROOM』を開催。VTuber『常闇トワ』のキャラクターデザインも手掛けている。
好きな食べ物は鮭とばや酒のつまみ全般、嫌いな食べ物は甘いもの全般(シュークリームは除く)。
※記事中で紹介している販売グッズは、タイミングによっては完売の場合もございますので、ご容赦ください。
渋谷の街に溶け込むデザインを目指した
── 渋谷駅徒歩1分の立地で、3フロアにわたって展開されるPOP UP SHOPです。rurudoさんの現時点での集大成と言えるイベントですね。

道玄坂下交差点から見上げたとき、トップアスリートや一流芸能人の方々の広告と私のイラストが並んでいることにまず感動しました……! デザイナーのばふぁちゅうさんと話し合い、「渋谷の街に溶け込む」ことを目指していたのですが、それはいったん達成できたのかなと感じています。

渋谷のシンボルともいえる109がある道玄坂下交差点に面した会場。
会場への行き方が不安な方はこちらの投稿もチェックしてみて。
── 外国人観光客など、もともとrurudoさんのファンというわけではなさそうな雰囲気の方々も興味津々で会場をのぞき込んでいて、初見の人の足を止めさせる作品のパワーというものを感じました。

今回のPOP UP SHOPの大きな目標として、「これまでのファンの方はもちろんのこと、まだ私のことを知らない人にも作品を見てほしい」というのがありました。近年は市民権を得てきているとはいえ、やっぱり美少女イラストって、近寄りがたさを感じる方も多いジャンルだと思うんです。だからこそ、「美少女イラストにあまり馴染みのない方にも興味を持ってもらいたい」という気持ちがあったので、同人イベントなどにあまり来る機会のない方たちにも見ていただけるのはとても嬉しいです。

1階「Wonderland」の展示。開催前日の準備中でも、入場できるのかを訊ねてくる人がちらほらと。
──3フロアそれぞれにコンセプトがあるそうですね。簡単に紹介いただけますか。


フロアガイドは、長年rurudoさんの同人誌のデザインを担当するばふぁちゅうさんによるもの。
── POP UP SHOPと銘打っていますが、展示物が充実していたり、内装に凝っていたり、ただグッズを売っているだけの空間ではありませんね。

たとえば遊園地で買ったぬいぐるみって、時間が経った後も見るたびに楽しい思い出がふんわりよみがえってきませんか? 会場での楽しかった記憶を一緒に持ち帰るような感覚で、グッズを手に取っていただけたらいいなぁと思っています……! 普段参加している同人イベントだと、どうしても売るだけで精いっぱいになってしまうので、「体験」ごと提供するというのは、自分にとっても新しい挑戦でした。

── 体験を提供するという点で、意識したイベントや施設などはありますか?

360度どこから見ても楽しめる等身大フィギュア
── POP UP SHOPのための描き下ろしイラストについて教えてください。


入場してすぐ左側に、キービジュアルのターポリン展示。イラスト内の額縁には、トランプにちなんだ模様が描かれているそう。
── イラストの展示方法もおもしろいですよね。どこかステンドグラスのような。


イラストを後ろから光らせることで、肌や髪などの繊細で透けるような色彩がより一層際立っている。
── 今も話題に出ましたが、やはり今回のPOP UP SHOPは、イヴちゃんの等身大フィギュアが大きな目玉ですよね。


── rurudoさん自身が監修されたそうですが、どんな点にこだわりましたか?

── 声優の上田麗奈さんがイヴちゃんを演じた店内音声も要チェックです。rurudoさんがセリフを考案して、演技のディレクションもしたそうですが、もともと上田さんはお好きな声優だったんですか?

はい、もうめっちゃ好きで……! 素のイヴちゃんと、ちょっと冷淡に喋ろうとするジョーカー風イヴちゃんの2種類が、店内音声として放送されます。自分が書いたセリフを上田さんが演じてくださるなんて、感無量ですよ!

会場で流れるイヴの声をお聞き逃しのないよう。
全てのグッズに納得がいくまでこだわった
── グッズについても教えてください。新作が多数発売されていますが、特にお気に入りのものは何ですか?

全部良いから迷ってしまうんですが、特に気に入っているものを挙げるとすれば、「るるどらいおんぬいぐるみ/通常衣装Ver.」でしょうか。初めは笑顔の表情だったんですが、途中で「ムスッとしているのもいいかも」と考えて急きょ対応していただきました。ほかにも髪やスカートの長さなど細かいリクエストを聞いていただいたおかげで、すごくかわいい仕上がりになったと思います。
存在感のあるサイズと持ち歩きやすいサイズの大小2バージョンで展開しています。ぜひるるどらいおんをいろんなところに連れていって、ぬい活してもらいたいですね。

あとは、るるどらいおん初のフィギュアもすごく気に入っています。グッドスマイルカンパニーさん、原型制作のjarelさん、彩色制作のグラハム仮面さんがキャラクターをより魅力的に引き立ててくださって、本当に大満足です!
── rurudoさんは、ご自身が関わるグッズのクオリティも追求する印象です。ただ売上を優先するのではなく、「自分の名前がつく以上、この水準を超えない限りは世に出したくない」というラインがあるのでしょうか?

グッズ制作はまず自分が作りたいものを作る、という自己満足の部分も大きいので、出来がイマイチだと作ってもしかたないと思ってしまうんですよね。せっかくお金を払って手に取ってくださった方を、がっかりさせたくない気持ちも強いです。
アニメや漫画にハマって、その熱が落ち着いた後、グッズを整理することってありますよね。手元に残しておけなくて処分することになったとしても、クオリティが高いグッズは処分せずにとっておく場合もあると思うんです。同人誌やグッズを作るときも、少しでも「手放すのが惜しい」と思ってもらえるものを作りたいと思っています。

ポスターやアクリルスタンドが当たる「rurudot Dinerくじ」。
── そのお話を聞くと、rurudoさんが今回のグッズを「全部良い」と言ったことの重みを感じますね。

地下1階「The Rabbit Hole」では、等身大フィギュアの装飾にも使われたオリジナルトランプや、公式図録が販売されている。
人気コスプレイヤー・高嶺ヒナとのコラボも実現
── コスプレイヤーでデザイナーの高嶺ヒナさんによるアパレルブランド「HIDOLATRAL THEODOL(イドラタール テオドール)」とのコラボアイテムも販売されています。このコラボはどのように実現したのでしょうか?

── rurudoさんがコラボアイテムのデザインを担当したのですか?

いえいえ。「rurudoの作品をイメージして、ヒナさんがファッションアイテムをデザインした」という形なので、私はちょっと意見を言わせていただいた程度です。私のイラストをすごく丁寧に解釈してくださってありがたいと同時に、スカートのアシンメトリーなシルエットなど、自分からは出てこない発想もあって新鮮でした。
── rurudoさんの同人誌やグッズのデザインに長年携わってきたデザイナーのばふぁちゅうさんが、POP UP SHOPでも大きな役割を担っています。また、店内BGMは音楽プロデューサーの春野さんが担当しており、rurudoさんと縁の深いクリエイターの方々が多数関わっているのも、今回のPOP UP SHOPが集大成と言えるポイントのひとつなのかなと。

そうですね、ばふぁちゅうさんは最初から外せないなと思っていました。そんな風に、「これはこの人に頼みたい!」があって依頼をしているので、これまでにお付き合いのある人たちにお願いしたというよりかは、ベストを追求した結果、この布陣になったという印象が強いですね。
── 春野さんには、BGMについてどんなふうにリクエストしたんですか?

初めの打ち合わせのとき、「ディズニーっぽい感じで、アリス要素があって、ちょっとゴシックなテイストもあって、でも暗くなりすぎないように……」とか、かなりわけのわからないリクエストをしちゃったんですよ(笑)。お願いされて、イメージと近い曲をお伝えしたりもしました。そこから春野さんが私のイメージを上手く汲み取ってくださり、すごく素敵なBGMが完成しました。

2階と地下1階ではrurudoさん監修・春野さん制作のBGMが流れている。
次なる目標はコラボカフェと「もっと絵がうまくなること」
── たまたまPOP UP SHOP に来場して、rurudoさんの作品に初めて触れる人もたくさんいるかと思います。そういった方々にこういうふうに楽しんでもらえたら嬉しい、というイメージはありますか?


オープン日の8/13(水)に見事Xでトレンド入り。
るるどらいおんぬいぐるみをお持ちの人は、ぜひ写真を投稿してみて。
── なるほど。逆に前々からrurudoさんを応援していたファンの方々にこういうふうに感じてもらえたら嬉しい、というのはありますか?

ここ数年、コミケにサークル参加した際にたくさんの方がスペースに足を運んでくださるようになり、ありがたいことですが、ファンの方でも同人誌やグッズを購入するのが難しい状況になってしまっていたと思います。コミケでも搬入できる限界までいれているんですが、それでも「買えなかった」というお声をもらうことも多くて。でも今回のPOP UP SHOPは、会期も2週間ちょっとあって、足を運びやすいと思います。等身大フィギュアなど、新しく挑戦したこともあるので、新鮮な気持ちで楽しんでいただけると嬉しいですね。もし現地に来るのが難しくても、グッズを通販で購入できる体制も整えていただきました。
── 渋谷の一等地で3フロアを展開という、大規模なイベントを開催して、rurudoさんご自身の感想はいかがですか?

ただ、こういう大規模イベントの経験が全くなくて、初めは「2、3か月後くらいに開催したい」と言っていたんですよ。スタッフさんが「そういう大きなイベントは1年くらい前から準備しているものなんですよ」と丁寧に教えてくれました。イベントといえば、コミケに個人で参加するくらいだから、感覚がぜんぜん間違っていたんです(笑)。
── 大きな挑戦を通して、手応えのようなものはありましたか?

以前の活動は、周囲の方の力をお借りすることもありつつ、ほとんどひとりで完結していたんです。でもPOP UP SHOPは、色味ひとつに関してもいろんな人から意見をもらえたり、デザインで迷うときに多数決をとったりができる環境で、すごく楽しかったし嬉しかったです。たくさんの人と接することによって、社会性を若干取り戻したかもしれません(笑)。
公式図録に収録されたデザイナーばふぁちゅうさんとの対談にて、デザインのブラッシュアップの過程なども語られている。
── 現在、マンネリのような感覚は解消されましたか?

── 次の目標についてのイメージはありますか?

イヴやエル、ラビといったオリジナルキャラクターを主役にしたコラボカフェを開催したいという目標があります。あとは、もっと絵が上手くなりたいですね。
── もっと、ですか!

はい。筆が遅いので言いづらくはありますが、練習して、もっと上手くなれたらなと思っています。
8月31日(日)まで! “FALLEN”rurudo POP UP SHOP @ZeroBase渋谷
会場:ZeroBase渋谷(〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-5-8)
https://zerobase.kesion.co.jp/shibuya/
入場料:無料
「“FALLEN”rurudo POP UP SHOP」公式サイト:https://rurudot-fallen.com/
「“FALLEN”rurudo POP UP SHOP」公式BOOTH:https://rurudot-fallen.booth.pm/
rurudo公式infoX(旧 Twitter):https://x.com/rurudo_info
rurudo公式infoFANBOX:https://www.fanbox.cc/@rurudot-fallen
※追加情報は、公式サイト・公式infoXにて発表します。
公式BOOTHにてグッズ通販も!
一部商品を除いて、公式BOOTHにてグッズを購入いただけます。会場までお越しになるのが難しい方、好きな時間にじっくりグッズを選びたい方は、ぜひBOOTHをご利用ください。
※一部商品は品切れのことがありますので、ご容赦ください。