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  • 小説公募を勝ち抜く秘訣は?審査員への見せ方から話づくりまで『ごめあそ』原作者に全部聞いた!
インタビュー
2022.04.19

小説公募を勝ち抜く秘訣は?審査員への見せ方から話づくりまで『ごめあそ』原作者に全部聞いた!

  • interview
  • novel contest
  • novel writing
  • novelist interview

構成/原田イチボ@HEW

pixivも含め、多数の創作プラットフォームが小説コンテストを実施しています。現代において小説家デビューを目指すなら、いかにインターネットを活用するかもひとつの鍵なのかもしれません。では、たくさんの作品が集まるコンテストを勝ち抜くために大切なこととは何でしょうか?


2020年に行われたpixiv小説10周年×pixivコミックによるマンガ原作コンテスト「コミカライズ・パーティ」でcomic POOL賞を受賞し、『ごめんあそばせ、殿方様! ~100人のイケメンとのフラグはすべて折らせていただきます~』が見事コミカライズ化したマキムラKさんに、これまで小説を応募してきた経験の中で掴んだテクニックを教えてもらいました。

>>pixivコミックでマンガを読む<<

マキムラK(巻村螢)
  • マキムラK(巻村螢)
  • 小説家。「あなたの周りに素敵な物語が溢れますように」がモットー。『ごめんあそばせ、殿方様!~100人のイケメンとのフラグはすべて折らせていただきます~』でpixivコミカライズパーティーのcomic POOL賞を受賞。現在コミカライズ1巻が発売中。

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いいねやブクマの数は受賞には関係ない?

── もともと小説を書くのが趣味だったんでしょうか?

マキムラK(巻村螢)

いえ、小説を書き始めたのは2019年夏頃で、執筆歴としてはまだ全然です。子どもの授乳期間が終わり、少し自分の時間ができたので、パソコン1台で始められる趣味ということで小説を書き始めました。どうせだったら目標があったほうがいいだろうと、最初は富士見ファンタジア文庫さんのコンテストに応募しました。そこで結果が出なければ素直に諦めるつもりだったんですが、一次通過はして、「書き続けたら、もっといい結果が出るのかもしれない」と感じて今に至ります。

── 小説を書き始めて数年でデビューなんてすごい……! 「コミカライズ・パーティ」は、それぞれテーマが異なる部門に分かれて作品を募っていました。なぜcomic POOL部門を選んだのでしょうか?

マキムラK(巻村螢)
もともと『ごめあそ』は「小説家になろう」さんで連載していた作品で、「コミカライズ・パーティ」を見つけた時点で第1章が完結していました。「最高カップル」というテーマのPalcy部門と、「オタク女子の異世界転生」というテーマのcomic POOL部門で少し迷いましたが、ギャグテイストの『ごめあそ』はcomic POOL部門のほうが合うと判断しました。連載時の内容に加筆・修正したものを応募しています。

マキムラ先生が応募した「コミカライズパーティ」comic POOLを含む5つのレーベルが参加しました。

── 受賞を知らせたときの周囲の反応はどんなものでしたか?

マキムラK(巻村螢)

小説を書いていることは夫にはずっと内緒にしていたので、『ごめあそ』で受賞したときに初めて伝えました。ただ夫はあまり本を読まないのもあって、「へー」くらいの反応でした(笑)。

── ご自身で手応えは感じていましたか?

マキムラK(巻村螢)

いえ。ほかの応募作と比べて「いいね」の数が少ないので、これはダメだと思っていました。いいねの数で足切りするWEBコンテストも多いので……。

pixiv担当者
pixivの小説コンテストは、担当者たちが応募作を全て読んで評価しているので、いいねやブクマの数がゼロでも受賞はありえますよ! 「担当者が全部読む」ことをpixiv小説コンテストの特色にしたいと思っています。


固定ファンを抱えていない作家だと、いいねやブクマの数を集めるのがどうしても難しいので、それは書く側としてすごくうれしい点です!

アイデアを出すのに便利な「無印良品の4コマノート」

── どれくらいの執筆ペースですか?

マキムラK(巻村螢)

家事や育児があるので、どうしても作業時間は限られてしまうんですが、1か月に10~12万字は書いていました。『ごめあそ』を毎日更新していたときは1日約3000字でしょうか。

── 速い!

マキムラK(巻村螢)

いえいえ。『小説家になろう』はもっと速いペースで連載している人がたくさんいますし、私なんてまだまだです……!

── 毎日更新という形式で小説を連載する上で、「毎回見せ場を作る」など意識していたことはありますか?

マキムラK(巻村螢)
続きが気になるような終わり方にすることを毎回心がけていました。たとえばブリック攻略編では、スフィアが「夕食が終わったら早速準備に取りかからないと」と食堂の花瓶を意味深に見つめるところで終わらせています。学校から帰って場面が切り替わるタイミングで終えることもできましたが、「その花瓶をどうするの?」というフックを作りたかったんです。


あとWEBでは情景描写を重たくせず、早めに展開を動かしていくことも意識しています。ほとんどの読者さんはスマホで気楽な感じで読んでいるので、読みにくさや間延びした印象を与えてしまうとブラウザバックされるんじゃないでしょうか。キャラの攻略などは2、3話で終わらせて、サクサク物語を進めていくようにしていました。

── 毎日更新だと、先の展開をどれくらい决めた上で連載しているんでしょうか?

マキムラK(巻村螢)

ストーリー全体の大まかな流れはあるのですが、「このキャラを攻略するにしても、具体的にどうやるの?」のような細かい部分はそのつど考えていました。私は『ごめあそ』が初めての毎日更新だったので、普通は予めストックを用意しておくということを知らず、自転車操業のようなギリギリ連載でした(笑)。その日の更新が終わってから次の内容を考えて、翌日書いてアップして……の繰り返しですね。

── どうしてもアイデアが思い浮かばない日はありませんでしたか?

マキムラK(巻村螢)

アイデアを出すときは、無印良品の「週刊誌4コマノート・ミニ」を活用しています。1ページに8コマ、見開きで16コマの枠があるだけのシンプルなノートなんですが、右側の4コマにその回で出てくるキャラの設定をまとめて、左側の4コマにはストーリーの流れをまとめていました。「あまり詰め込みすぎるとゴチャつくから、8コマで起承転結を収めよう」ということですね。ほかにも矢印を書き込んでフローチャートみたいにして、「こっちの展開を選べば、こういう流れでこういう結末になる。そっちの展開を選べば、そういう流れでそういう結末になる」みたいに流れを整理する使い方もしています。頭の中がぐちゃぐちゃのまま考えてもいい結果にならないので、とにかく手を動かして情報をいったんまとめると、アイデアが降りてくる気がします。

マキムラ先生が実際に書かれたページ。

── 応募段階で、コミカライズ向けに変更した箇所はありますか?

マキムラK(巻村螢)

叫び声をより大げさにしてコミカルな雰囲気に寄せました。「えっ!」を「えええええええええええええええ!」にするような感じですね。よりマンガ映えするものになるんじゃないかと考えました。

── 審査員の目に留まるように意識したポイントはなんですか?

マキムラK(巻村螢)

『ごめんあそばせ、殿方様! ~100人のイケメンとのフラグはすべて折らせていただきます~』のように、長い文言はサブタイトルに回して、タイトル自体は短くしました。審査をする中で、あまり長いタイトルだと審査員の方も「何だっけ?」となりそうですし、ほかの審査員の方とのやり取りもしづらいんじゃないでしょうか。


また、たくさんの作品がある中でまず目を引く要素が必要だとも考えました。そのため絵師さんに依頼して、表紙イラストを描いていただきました。キャラクターのイメージが持てたほうが、きっと作品にも没入しやすくなりますよね。でもまずは応募要項を読み込むことが本当に大事です!

── 応募要項ですか?

マキムラK(巻村螢)

はい。応募要項は絶対読みましょう。本文やあらすじの文字数はもちろん、作品は完結していないとダメなのか、未完でもいいのか。確認すべきポイントはたくさんあります。また、出版社やレーベルの「色」を確認しておくことも大切です。どんなに素晴らしい異世界ファンタジーを書いても、純文学の賞に出したら絶対落選します。歴代の受賞作をチェックすれば、そこの色は大体つかめますし、編集者の方が「こういう作品を求めている」としっかり説明してくれている場合もあります。舞台作りなど大元のところはレーベルに合わせて、その中に自分の好きなテイストを散りばめるバランスがちょうどいいんじゃないでしょうか。

pixiv担当者
おっしゃる通り、どんなに素晴らしい内容でも応募要項に違反しているというかどうかが、最初に弾くポイントになってしまうんです。「文字数の条件を満たしていない」というのはよくあるミスですが、百合のコンテストにBLを送ってくるようなケースもあって……。


「とりあえず編集者の目に留まれば、別レーベルから声がかかるんじゃないか」という考えで応募されているケースもあるようなのですが、そのような可能性はほぼないと思っていただいた方が良いかと思います。

── 正攻法で行くのが一番ですね! ほとんどのコンテストでは作品にあらすじを添えて応募する必要がありますが、あらすじはどう書くのがいいでしょうか?

マキムラK(巻村螢)

私も初めは「この後どうなる!?」のような書き方をしていましたが、あらすじは結末までしっかり書いたほうがいいです。誰か犯人がいるような作品でも、犯人までしっかり書きましょう。審査を担当する方にとっては、「こういうストーリーなんだ」と頭に入れて読み始めたほうがスムーズに作品をチェックできると思います。作品に期待を持たせるのは読者相手にすることで、審査員の方に対しては、余計な負担をかけてしまわないように注意しています。

『ことば選び辞典』、「Nola」と便利なものは活用する

── 小説を書き始めたばかりの頃、どんなふうに練習していましたか?

マキムラK(巻村螢)

とにかく書いてみることが大事です。そして、書くにあたっては「物語の中心線」を決めなければいけません。主人公がどのような成長を遂げるかなどのビフォーアフター。つまり物語の大筋ですね。私の場合は紙に殴り書きしながら考えていました。「こんなイベントが起きる」とか「こんなものが鍵になる」とか思いつくままにアイデアを書き連ねて、矢印を飛ばして繋げていきます。どうしてもパソコンだと、気ままに書き足しづらいんですよね。汚くてもいいから紙に書くと、頭の中がいったん整理されます。

── ざっくりした質問になってしまいますが、文章が上手くなるためにはどうしたらいいでしょうか……!?

マキムラK(巻村螢)
うーん、難しい質問……(笑)。私が何か言うのもおこがましいですが、好きな小説を何度でも読むといいんじゃないでしょうか。私はもともと北方謙三先生や田中芳樹先生の小説が大好きで、それほどキャラ文芸には馴染みがなかったんですよ。でも「こういう文体って良いな」や「この展開すごく感動する」と好きな本を何度も読み返した経験は自分の感性に染み込んでいて、それが自然と創作にも生かされている気がします。いろいろな作品に触れることは大切ですが、思い入れが深い作品を自分に叩き込むことも大切です。影響を受けた作品は、自分の芯になってくれるはずです。あとは『ことば選び辞典』を使うのもオススメです。

── 『ことば選び辞典』?

マキムラK(巻村螢)
そうです。 学研プラスさんから出ているシリーズで、私は『ことば選び実用辞典』、『感情ことば選び辞典』、『難読漢字選び辞典』を使っています。同じ意味を指す言い回しがいろいろ掲載されていて、たとえば『感情ことば選び辞典』だと、同じ「嬉しい」でも「歓喜」「有頂天」「喜悦」「嬉々」「狂喜」「驚喜」……と数十個載っているんですよ。言葉の重複を避けられるので、これはすごく便利です!

マキムラ先生の私物の辞書。

── 無印の4コマノートといい、『ことば選び辞典』といい、マキムラさんはいろんなツールを活用しながら小説を書いているんですね。ほかに便利なものはありますか?

マキムラK(巻村螢)

小説を書く人向けの「Nola(ノラ)」という無料のメモアプリをネタ帳代わりに使っています。登場人物や世界観を整理する機能や、プロットを作成・管理する機能、相関図を作成する機能などがあって、これひとつでいろんなことができます。

── 公募はたくさんあるので、つい怠けてしまいませんか? 「〆切に間に合わないから次のコンテストに出せばいいや」と先延ばしにしているうちに、気づけば1年何も応募していないという「公募の怖いあるある」を聞いたことがあります。

マキムラK(巻村螢)

そういう悪魔はいます(笑)。ただ、やっぱり出版社やレーベルが変わると、求められる作品の色も違うから、「次のコンテストに出せばいい」は成立しないんですよ。これに出すと决めたら、その〆切に向かって突き進むしかないんです。私は3週間で14万字書いたこともあります。死にものぐるいになれば、意外とできるものです(笑)。

夏発売の小説は「スフィアがさらにヤバくなっている」

── コミカライズにおいて、原作者はどのように作品に関わっているのでしょうか?

マキムラK(巻村螢)

編集さんから毎話ネームをいただいて、原作者としてイメージの齟齬がないかを確認します。あまり細々と説明しすぎても読者さんを混乱させてしまうので、原作では「森」とだけ描写した場面でも、マンガは目に見えるもの全部を描き込まないといけないので、鬱蒼とした森なのか、木漏れ日が差すような森なのか、そこに生えているのは針葉樹なのか広葉樹なのか……などの情報が必要になってきます。そういった部分をお伝えしていますが、実際そこまで修正を出すことはありません。

── コミカライズにあたって、何か希望は出しましたか?

マキムラK(巻村螢)
「ギャグマシマシで、ぶっ飛んでください」とお伝えしました。最初にスフィアのキャラデザをいただいたときは、「キャラが動いている!」と感動しました。かわいらしいだけでなく、ヨダレを垂らすなど突き抜けた表情もたくさんあって……。第1話のラストで、スフィアが大鎌を掲げているところも「こんなのよく思いついたな! セロタ先生、突き抜けてるな」と驚かされました(笑)。マンガになると、よりコミカルな見え方になりますね。

マキムラ先生も驚いた大鎌を振りかざすシーン。

── 夏には『ごめあそ』の小説も出版されるそうですね。

マキムラK(巻村螢)

こちらは「コミカライズ・パーティ」で受賞したものに、さらに加筆修正しています。ストーリー自体は基本的に一緒ですが、スピード感が増して、よりハイテンションになっています。あとはジークハルトが主人公のスピンオフ『ごめんあそばせ、お姫様方!』も収録予定です。すでに原作を読んでくださった方にも新たに楽しんでもらえる内容なのではないでしょうか。とりあえずスフィアがさらにヤバくなっています!(笑)

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