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インタビュー
2022.02.10

マネキン、衣装、自撮り…… BL作家のホン・トクに「実物を見ながら描く」こだわりを聞いた

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  • イベント紹介・レポート

構成/原田イチボ@HEW

新進気鋭のBL作家であるホン・トクさんの初個展「SENSUOUS HEAVEN」が、東京・表参道にある「pixiv WAEN GALLERY」にて2月23日まで開催中。約90点のイラストに加えて、キャラクター衣装や等身大パネルなど盛りだくさんの展示です。

色気たっぷりの肉感的な男性キャラを描くことに定評があるホン・トクさんですが、実はデビュー当初は全く異なる作風だったそうです。リアリティある絵を描くために、こだわっていることとは? ストイックに挑戦を続けるホン・トクさんにインタビューしました。

ホン・トク
  • ホン・トク
  • 漫画家・イラストレーター。 独特の筆運びで、質感たっぷりに描かれた妖艶なイラストで人気を博す。漫画連載を中心に活動し、2021年6月よりKiR comicsから単行本を3ヶ月連続刊行。同年12月には『狐艶伝』を連載開始。 ゲームなどのキャラクターデザインも複数手掛け、22年2月には初画集『IDEAL』刊行。

  • pixiv
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ギャグマンガ家志望だったはずが、まさかの形でデビュー

── まずデビューのきっかけを教えてください。

縦読みマンガのアプリの会社に持ち込みをして、そこでスカウトされてデビューしました。ギャグマンガ家志望だったんですが、編集さんに「ギャグマンガは足りているから」と言われてしまい、最初のお仕事はノベルのコミカライズでした。それから、女性向けノベルのコミカライズなど、あっちこっちの媒体でいろんな作品を描いて、今は商業作家になって5年目くらいですかね。昔は作風が全然違って、動物のギャグマンガを描いていたんですよ。それなのになぜ最初の編集さんがコミカライズの仕事を私に任せたのか、いまだに謎です(笑)。

絵の進化………⁇⁇⁇⁇⁇⁇

2016 2021 pic.twitter.com/3RRJeAivji

— HONTOKU個展開催中 (@analu_DT3) October 6, 2021

── ギャグマンガ家志望だったとは! 「でんぢゃらすじーさん」シリーズの大ファンだと聞いて少し意外に感じていたのですが、納得がいきました(笑)。

いや~、もう大好きなんですよ……! たまに自分の作品にも片鱗が出ている気がします。

── 他に影響を受けたクリエイターはいますか?

韓国のイラストレーターのキム・ヒョンテさんは、画集がボロボロになるまで見て真似しました。2次元なのに、いい意味で肌の質感がとても生々しいんですよ。リアルな塗りが衝撃的でした。

あとアニメーターの馬越嘉彦さんとマンガ家の永野護さんは、足の書き方など立ち絵に関してすごく影響を受けました。昔から、気に入った絵は自分ですぐ真似して「こうなっているのか」と分析しています。

── もともとギャグマンガを描いていたなら、ストーリーマンガを描くにあたって苦労したんじゃないでしょうか?

今でもストーリーには苦手意識がありますが、中華風ファンタジーの読者さんはストーリーを重視する方が多いので、なんとか苦労してお話を考えています……! ただ、「キャラクターの背景などを深めて考える」という点で、もしかすると二次創作の経験がお話作りで生きているのかもしれません。

── 昔の作品を見ると、もうちょっとアニメ寄りの画風で、今とはまた雰囲気が違いますね。

過去の絵はキャラクターが幼い感じでしたが、BLデビューが決まったとき、頭身など体の描き方を変えました。もちろん人によって好みはありますが、自分の場合、BLだと高めの頭身のほうがしっくりきました。

マネキンに衣装を着せて、服のシワを確認する

── ホン・トクさんは、リアル寄りの肉感的な画風が魅力です。専門的に人物デッサンを学んだ経験はありますか?

勉強嫌いなので、実は全然なんですよね……。専門学校に通ってはいましたが、あくまでマンガ専門コースだったので、絵自体は完全に独学です。自分で構造を理解していないと描けないタイプなので、「実物を見ながら描く」というのは徹底しています。

ドールと等身大マネキンを持っているので、その都度ポーズなどを確認しています。服もマネキンに一式着せてみてシワなどを確認しています。靴、スーツ、中華風ファンタジー系の衣装と参考資料がたくさんあるせいで、クローゼットの中身がコスプレイヤーの方みたいなんです(笑)。

ホン・トクさん所有のドール

あと資料として自撮りもよくします。水に濡れて白い服から素肌が透けて見えるイラストを描いたことがあるんですが、参考にするために素っ裸に洗濯OKの白い着物を着て、お風呂に入って自撮りしました。そういう恥ずかしい写真ばかりなので、スマホの中身は絶対他人に見せられません!(笑)

高春 pic.twitter.com/CwLlKesmxH

— HONTOKU個展開催中 (@analu_DT3) July 16, 2021

── 「実物を見て描くのがいい」とはよく言われますが、そこまで徹底されているとは……!

今はご時世的に難しいですが、資料写真を撮るために遠出することもあります。新幹線で出かけて、目当ての建物の写真を撮って帰る、みたいな。お金が無限にあるなら、キャラの衣装を一通り作りたいですね。資料部屋が欲しいです!

── 実物を見ながら描きたいタイプであれば、中華風ファンタジーは苦労されているのでは?

そうですね、でも会社員の経験がないので、オフィスが舞台の『オフィスの豹』も調べなきゃ描けませんでした。だから、オフィスも中華風ファンタジーも同じくらい大変です(笑)。

とはいえ、今連載している『狐艶伝』(こえいでん)が一番苦労しているかもしれません。中華風ファンタジーかつ歴史ものなんですが、当時は身分によって服の色とか構造が変わるんですよ。だから、とにかく調べることが多いです。

── 情報としての正しさと、自分の想像力とのバランスをどのように取っていますか?

どれだけ資料を読み込んでも、記載されていない部分は結局自分で考えるしかありません。あくまでファンタジーですし、「自分の手を動かしやすくするためのリサーチ」というふうには考えています。それでも歴史好きな方が読んだときに「これ全然違うじゃん!」と引っかからないような描き方にはしたいので、ある程度のポイントは抑えないといけませんし、そのバランスは悩みどころですね。

── 中華風ファンタジーはもともとお好きなんですか?

天野洋一さんの『AKABOSHI―異聞水滸伝―』という作品をきっかけに、学生時代からずっと好きなジャンルです。中華風ファンタジーは武器の種類もいろいろあるし、衣装も華やか。描けるものの幅の広さに魅力を感じています。

スーツは体に合ったサイズ感が大事

── ホン・トクさんは体格差萌えだと聞きました。体格差って描くのが難しくないですか? 「身長差○センチなら、この体勢のとき相手の顔がこの位置にきて……」というイメージが全然掴めず困っています。

基本的には3Dデッサン人形に頼っています。身長・体型を設定できるから便利なんですよ。あとは身長180センチのマネキンを持っているので、それで大きさのイメージを掴んでいます。ただ『狐艶伝』の高春(こうしゅん)は身長190センチなので、最近はマネキンをさらに10センチの台に乗せて使っています。

── やっぱり実物にこだわるんですね。

オタクって、好きなキャラの身長のところで壁にマスキングテープ貼ったりするじゃないですか。それと同じです(笑)。

── ホン・トクさんは、色っぽい男性キャラを描くことに定評がありますが、男性キャラを描く上で何かコツはありますか?

男性と女性は、顔立ちよりも骨格に大きな違いがあります。へその位置や肩の線など、男性らしい骨格のポイントを抑えて描くことですかね。

── スーツを着た男性キャラも魅力的です。スーツ姿をかっこよく描くためのテクニックは何でしょうか?

「デキる男のスーツ」を意識することでしょうか。オーダースーツとそうじゃないスーツって違いが一目瞭然なんですよ。まずは本当に体に合ったスーツのサイズ感を掴むことが大切だと思います。

スーツイラストを集めたホン・トクさんの同人誌。2019年刊行。

── 資料として衣装をたくさん集めていますし、衣装フェチな部分があるんでしょうか?

それはもうめっちゃくちゃフェチですね……! ヒラヒラした衣装が大好きです。風になびかせたりして、いろいろなシワが描けますからね。ヒラヒラした衣装は、シワの自由度が高いんです。シワ描くのが好きなんで……。

織条様 pic.twitter.com/kxaKeRn0j7

— HONTOKU個展開催中 (@analu_DT3) December 13, 2021

── 服のシワに対して熱い! ほかに描いていて楽しいところはどこですか?

顔ですね。顔と服のシワは作画でも時間をかけています。

── 塗りのとき、ほとんどレイヤーを分けないと聞きました。

一応分けてはいるんですが、部分ごとに細かく分けず、キャンパスの上にガシガシ塗っていくような感覚です。なんとなく物足りなく感じたら、塗りの途中でも衣装や背景をどんどん足しちゃうんですよ。特に背景は、人物を塗り終わってから初めて考えているかもしれない(笑)。塗っている最中に線画もやるから、細かくレイヤー分けしないほうが作業しやすいです。

── カラーイラストの場合、大体どれくらいの日数で完成させていますか?

個展のメインビジュアルは途中で迷走したせいで時間がかかっちゃったんですが、基本的にはカラーイラスト1枚につき早くて2、3日で完成させています。

スランプに陥ったときも、とにかく描き続ける

── 個展のメインビジュアルは迷走したとのことですが、創作していて結構悩むタイプですか?

かなり悩みます。メインビジュアルを描いたときは、描きすぎて、もはやわけがわからなくなっていました。納得する絵が全然描けなくて……。

── スランプの脱出方法はありますか?

とにかく描きます。いったん寝るとか違うことをするのではなく、それでも描く。せいぜい「いったん違う絵を描く」くらいですね。私、絵自体を描きたくなくなる瞬間はないんですよ。辛いこともあるけど、それ以上に絵が好きだから、描くことしか考えられません。

── おすすめの絵の練習方法はありますか?

「絵の練習をするぞ」と義務になってしまうと辛くなりそうなので、描きたい絵を描くのがいいと思います。でも描くからには、とりあえず完成までは仕上げたほうがいいかな。あとは、とにかくたくさん描くことですね。

── ホン・トクさんご自身は、今練習でしていることはありますか?

練習というより趣味に近いこだわりになるのですが、リアルさを突き詰める為に様々な質感の表現に挑戦しています。

── しっかりした作風がある上で、パステルで絵を描くことにも挑戦してみたり、絵の描き方に関して変化を全く恐れませんね。

「今の自分のままでいい」とは絶対なりません。ちょっとクサい言い方になっちゃいますが、ずっと何かを求め続けているんです(笑)。自分の絵に100パーセント納得がいくことがないぶん、「もっと上手くなりたい」という気持ちがずっとあるのかもしれません。

100均のパステルで気合いで描いたマ pic.twitter.com/OIXYkbgtmg

— HONTOKU個展開催中 (@analu_DT3) December 24, 2021

個展の見どころは、約2メートルに及ぶキャラクターの等身大パネル

── 個展のタイトル「SENSUOUS HEAVEN」に込めた意味を教えてください。

「SENSUOUS」は官能的という意味なので、私の絵を一言で表すならそれかなぁと。あと前から「HEAVEN」というのを何かのタイトルに使ってみたかったので、ふたつの言葉を組み合わせました。

── メインビジュアルは、どのように生まれましたか?

メインの作品がスーツと中華風ファンタジーなので、両方詰め込みました。

── 展示の見どころを教えてください。

高春の等身大パネルです。等身大パネルにずっと憧れていたんですが、私のキャラは高身長なので、なかなか作るのが難しいんですよね……。それが今回実現したので、私自身、とても楽しみです。

展示担当者が大型パネルに対応してくれるメーカーを見つけ出して実現した全長2メートルにも及ぶ等身大パネル

── ホン・トク先生持ち込みのキャラクター衣装もあると聞きました。

愛でているドールちゃんに着せている衣装です。今回展示したのは、業者さんに初めてオーダーしたもので、生地からこだわって選びました。

── 初個展に続き、初画集『IDEAL』も2月10日に発売されますね。今後の目標は何ですか?

これまで描いてきた作品は1巻で完結するものばかりだったので、2巻以降も続く物語を描いてみたいですね。あとはゲームのキャラクターデザインをさせていただくことがあるのですが、今後はメインキャラも担当してみたいです。

── 開催中の個展「SENSUOUS HEAVEN」&発売中の画集『IDEAL』を、ぜひチェックしてみてください!

ホン・トク初個展「SENSUOUS HEAVEN」開催中!

pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、ホン・トクさんの初個展「SENSUOUS HEAVEN」が開催中です。

ホン・トクさんがこれまで手掛けた漫画作品のイラストを中心に約90点を展示します。キャラクターの再現衣装や、描き下ろしイラストの等身大パネルなど、作品世界を体感できる展示となっています。


開催期間:2月4日(金)~2月23日(水)

定休日:なし

入場無料

所在地:東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F

営業時間:12:00~19:00


>>pixiv WAEN GALLERY公式HP<<

>>公式Twitter<<

※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。

※新型コロナウイルスへの対策について

ホン・トク個展「SENSUOUS HEAVEN」について、現時点では2月23日(水)までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染状況により、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

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