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インタビュー
2025.10.16

3D衣装トップクリエイターが3Dアバター制作に挑んだ理由とは?アルティメットゆいインタビュー

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  • BOOTH
  • クリエイターインタビュー
  • 3D・アバター制作

インタビュー/浅田カズラ

BOOTHで盛り上がり続けている、VRChat向け3Dモデルジャンル。プレイヤーの分身となるアバターだけでなく、アバターに着せる衣服の3Dモデルは、人気ブランドが登場するほどに加熱の続く創作領域として発展を遂げています。
3Dモデラー・アルティメットゆいさんが率いる「EXTENSION CLOTHING」や「MAISON DARC.」は、VRChat向け3D衣装のトップブランドの一つ。クールでリアルなアパレルから、キュートでセクシーなコスチュームまで、幅広いジャンルの3D衣装を手がけています。


そんなアルティメットゆいさんが、自身初となるVRChat向け3Dアバター「LUMINA」を発売します。これまでVR空間の服を手がけてきたトップクリエイターが、アバター制作に挑戦しようと思ったのはなぜか。


アルティメットゆいさんに経緯や想いを伺いました。

EXTENSION CLOTHING

オリジナル3Dアバター『ルミナ - LUMINA』💎

by EXTENSION CLOTHING
この商品を見る
アルティメットゆい
  • アルティメットゆい
  • 3Dモデラー兼デザイナーとして活動。
    EXTENSION CLOTHING や MAISONDARC. などの バーチャルアパレルブランドを運営。
    趣味は映画観賞と音楽鑑賞とドライブと入浴。お線香などの香りものや香水、アロマが好き。

  • EXTENSION CLOTHING - BOOTH
    MAISON DARC - BOOTH

自分の描く衣装に合う素体を求めて 「LUMINA」制作経緯

── アルティメットゆいさんは、これまでVRChatアバター向けの3D衣装を手がけてきました。今回、アバターを制作しようと思った経緯はどのようなものでしたか?

最初にアバターを作ろうと考え始めたのは、2年ほど前です。自分が制作した3D衣装を着用した様々なアバターをを見ていた中で、次第に自分の中で理想の「服を着たシルエット」が生まれ、それを自分で作る欲求が積み重なったのがきっかけです。


もちろん、既存のアバターが悪いというわけではなく、自分の表現したい衣装デザインに合うアバターが欲しかったのが大きな理由です。それに、自分でアバターも衣装も作れば、頭の中で思い描くイメージにより近づけるのでは、と考えました。


こうしてアバター制作に取り掛かりましたが、毎月の衣装リリースと並行して行っていたので、完成までに1年半ほどかかりました。

── 衣装のデザインやモデリング経験はあったと思いますが、人体モデリングの経験はありましたか?

まったくなかったので、手探りでいろいろ調べながら進めました。最初の素体は1年前に一度形にしたのですが、時間をおいて見直すと直したい箇所が出てきて、そこから少しずつ手直しを重ねていき、今の形になりました。


人体デッサンなどを学んでいればもっと楽にできたのかもしれませんが、そこを通ってこなかったので時間がかかったように思います。次に制作する際は、人体についてしっかり勉強して取り組みたいですね。とはいえ、自分の理想とする形には出来上がったので、満足しています。

見せる身体部位と顔のデザインへのこだわり

── 「LUMINA」の造形で特に力を入れた部分について教えていただけますか。

衣装デザインをしていると、どうしても身体が見える部分が出てきます。特に肩や太もも、足まわりは、多くの衣装クリエイターがそれらを見えるデザインにすると思います。そうした箇所は特にこだわりました。


「LUMINA」の場合、とりわけ太ももの肉付きには力を入れています。他のアバターにはまだあまりない「むっちり感」を見せられるようこだわっていますね。

また、私はハイヒールをデザインすることも多いのですが、本来ヒールを履くと、人の足先は圧迫されて細く見えます。これを3Dアバターでも表現できるよう、ヒールを履いたときの足の形をきれいに作り出せるシェイプキーを実装しています。


一方で、断念した部分として肩のシルエットがあります。腕を下ろしたときに肩が丸く広がらないよう、コンストレイントを駆使してエッジの効いた肩を作れないかと考えたのですが、衣装対応の難易度が上がりそうなので今回は見送りました。今後の課題ですね。

── もしかすると、今後は衣装対応のしやすさも考慮しつつ、より理想の素体へアップデートする可能性も残っていますかね。

そうですね。難しいですが、できれば取り組みたいですね。

── 「LUMINA」のデザインを拝見した際、先行するアバターとしては「森羅」のような、リアリティのある造形が印象的ですが、顔は若干アニメ的なデザインも感じられました。全体的なキャラクターデザインはどのように組み上げたのでしょうか。

もともと「EXTENSION CLOTHING」や「MAISON DARC.」では、リアルクローズ寄りの服を多く作っていました。この路線の服は、「森羅」のような頭身が高いアバターが特に似合います。


一方で、私はトゥーン調のキャラクターっぽい顔も好きです。結果、「LUMINA」は「森羅」のように頭身は高めに設定しつつ、目はキャラクター寄り、口元や鼻はリアルな膨らみを加えるなど、自分の好みのスタイルを混ぜた、自分なりの理想の造形に仕上げました。

── 「LUMINA」の制作発表を耳にした際、「LUMINA」は今後、アルティメットゆいさんが展開する3D衣装の看板モデルのように運用されるものと想像していました。実際、ご自身の中で「LUMINA」はどのように運用される予定ですか?

まずはしばらく、自分のメインアバターとして使っていき、そこから次へ活かそうかなと思っています。


もちろん、3D衣装の商品サムネイルには積極的に採用しようと考えていますが、3D衣装にはそれぞれ「最も似合うアバター」が存在します。最近は「しなの」をよく使わせてもらっているので、例えば「LUMINA」と「しなの」のツーショットをサムネイルにしたり、あるいはソロで起用したり、使い分けができたらなと思います。

── ブランドの代表モデルでありながら、衣装ごとに最も映えるアバターとの共演もある、みたいな。

並び立つ過程で、VRChatアバターの仲間として受け入れてくれたらうれしいですね。

衣装制作経験はアバター制作にどれだけ活きた?

── 衣装デザインやモデリングの経験は豊富でも、アバター制作は手探りだったとおっしゃっていました。これまでの経験が活きた部分や、逆に全然通用せず苦労した部分などがあれば教えていただけますか。

素体制作については、トポロジーを意識していつもと異なるリトポロジー作業を行い、きれいに整えていきました。ただ、やはり使ったことがないツールが多数あり、それらの使い方を調べながら作業してするのは難儀でしたね。「こうしたらよかったな」と思える改善の余地がすでにあります。


また、素体・髪・メイクのテクスチャはイラストレーターのももこさんにお願いしたのですが、ももこさんも使ったことのないツールを導入したため、お互いに制作に苦労しましたね。

── まさに暗中模索だったと。モデリング用のツールは衣装制作と同じですか?

衣装制作と同様に、Blenderを使用しています。ただ、素体制作は「ハイポリで作った上からローポリのメッシュをかぶせる」といった流れを採用しましたが、そのときに使う機能などが、普段の衣装制作とは異なるもので、習熟に苦労しました。

── なるほど、同じBlenderを用いた作業でも、衣装制作とは使い方自体が異なっていたのですね。

そうですね。あと、素体を絞るシェイプキーですね。あれはトポロジーの境目でメッシュを選択して形を絞るものなのですが、自分が絞りたいと思う場所にメッシュが切られていないと、角がガタガタになってしまうんですよね。そこが納得いかなくて、いろいろ実験しました。次回はその辺りも改善したいです。とにかく勉強しながら進め、課題をたくさん見つけたアバター制作でした。

── ちなみに、シェイプキーはどのくらいの数が実装されていますか?

顔だけで約600個、体に70個ほど入れています。シェイプキーを増やすとFBXのファイルサイズがどんどん大きくなるので、ここまでが限界ですね。


こだわりは口の造形です。あらかじめ複数のスタイルごとのプリセットを用意しているので、大まかにそれで形を作ってから調整もできますし、細かなシェイプキーを一つずつ調整することも可能にしています。めずらしいところでは、目頭や涙袋も調整できますし、耳の形も変形できます。

── 身体のシェイプキーはどうでしょうか? 特徴的な太ももを、逆に細くすることもできますか?

できます。全体を細身にしたり、骨盤だけ狭めたり、足だけ細くしたりできるようにしています。タイツについても「少しだけ締める」「強く締める」といった複数段階のシェイプキーを入れています。逆にお尻や太ももをさらに太くする調整も可能です。

── セクシーな路線にも、スタイリッシュな路線にも対応できる、と。

幅広い方向性に対応できるよう意識しました。

スクールスタイルの衣装は「イメージの固定化」を避けるため

── 「LUMINA」のデフォルト衣装は、全体的な方向性はスクールスタイルですよね。この衣装は「LUMINA」専用衣装になりますか?

はい。あくまで「LUMINA」専用のデフォルト衣装で、単品でのリリースは予定していません。

── スクールスタイルというコンセプト以外で、こだわった点はありますか。

「LUMINA」リアルクローズ系の衣装を着せることは重視していますが、最初からリアルな服を着せてしまうと、イメージが固定されすぎてしまう懸念がありました。そこで、従来のVRChat向けのアバターと同様に、少しファンタジーな、キャラクターっぽく見えるデザインに調整しています。


衣装の方向性についても、かわいくもあり、かっこよくもあるデザインにすることで、イメージの固定化を避けています。例えば、スカートっぽく見えるキュロットを着せてみたり。同時に、パブリックな場所で、アバターを動かした際にスカートの内側の下着が見えるのを避ける傾向も強くなっているかと思い、スカートではなくパンツスタイルをデフォルトでは採用しています。

── 無改変で使っても、安心してパブリックな場所を歩いていけるデザインであると同時に、ここからどんな装いにもできる余白も残してあるわけですね。

実際に、「MAISON DARC.」の服も試験的に着せているのですが、しっかりと似合うバランスに収まっています。衣装クリエイターのみなさまには、いろいろな服を「LUMINA」向けに作っていただけるとうれしいですね。

セクシー路線の衣装も作る理由 「LUIMNA」発売後どんな衣装を作りたい?

── 今回、ゼロから取り組んだアバター制作によって、今後アルティメットゆいさんの衣装制作などに影響しそうなことはありますか?

心情的には、「LUMINA」に似合う衣装をたくさん作りたいと思っています。「EXTENSION CLOTHING」と「MAISON DARC.」から、すぐには衣装展開を仕掛ける予定はないですが、今後は「LUMINA」に似合うリアクロ系衣装のリリースが増えるかなと思います。


一方で、「LUMINA」を使ってどこまでセクシーな衣装を作れるか、挑戦してみたい気持ちもあります。実際に、利用規約は「しなの」作者のぽんでろさんなどにも相談していて、「しなの」を参考に構築する予定です。「ちょっとセクシーな衣装もOKなお姉さんアバター」としてプッシュしていければなと思います。

── セクシーなコスチューム系3D衣装は、ここ数年の「EXTENSION CLOTHING」でラインナップが増えている印象です。セクシー路線の衣装を作るモチベーションはどのようなものなのでしょうか?

私はVRChatで生まれた文化をとても肯定的に捉えています。否定的な意見も見かけますが、私自身はここで生まれた文化は大切にしたいと思っています。


だからこそ、そうした文化に寄り添うような衣装を制作してきましたが、一方で、清楚でリアルでも着ていけるような衣装も好きなので、両方作ってきました。


とはいえ、リアクロ系の「MAISON DARC.」で「EXTENSION CLOTHING」っぽい衣装を出すのも、その逆をやるのも、ちょっと中途半端です。なので、思い切ってブランドごとにコンセプトを分けて、方向性を振り切ってしまうことにしたんです。

── 以前の「EXTENSION CLOTHING」は、コスチューム系もリアクロ系も混在していましたが、いまは「MAISON DARC.」があるので、ブランド単位の棲み分けが可能なのですね。

実際に、「MAISON DARC.」ローンチ直後の「EXTENSION CLOTHING」一発目の衣装は「断罪セーラー」なんです。あの時点で気づいた人は気づいたと思いますが、これが「MAISON DARC.」が生まれた理由なんですよね。


私はリアクロ系もセクシー系も両方好きなので、どちらも作りたい。でも、ブランドが1つだと、衣装は基本的に月に1本までしかリリースできません。「どっちを選ぶか」で悩むくらいならば、ブランド単位で方向性を分けて、制作を進めてしまえばいいかなと思った次第です。


しかし、これが結果的に、「こういうのを作っていいんだ」と思ったクリエイターさんを増やすきっかけにもなったと思います。最近はだいぶセクシーな衣装を販売するショップが増えていて、中には過激なデザインを作っているところも現れていますよね。


とはいえ、これはVRChatアバター向け衣装に限らず、近年のコンテンツにおけるキャラクターデザイン全般に言えることなのかなと。最近のスマホ向けゲームだって、かなり過激なデザインのキャラクターが増えているじゃないですか。それと同じように、そういったセクシー路線のジャンルが確立されていってもいいのかなと思っています。

── となると、「LUMINA」は「EXTENSION CLOTHING」が志向するようなコスチュームやセクシー路線も、「MAISON DARC.」が志向するようなリアクロ路線も、どちらも幅広く受け入れられるアバター……という立ち位置になりそうですかね?

ですね。VRChatで育まれた幅広いカルチャーを受け止めてあげられる存在になってくれたらいいなと思っています。

次は男の子? 新たなアバター制作のモチベーション

── 今後、「LUMINA」以外もアバター制作は続けていきたいですか?

はい。アバター制作は、衣装制作とは違った面白さがあり、自分でどこまで作れるのかと挑戦心が沸き立つものだと捉えているので、次回作も視野に入れています。

── もし2体目を作るとしたら、制作期間はどのくらいで見積もれそうですか?

もし衣装制作を完全に止められるなら、3ヶ月ほどで仕上げられると思います。ただ、衣装も作りたいので、取り掛かるのはしばらく先になるでしょうね。

── 次はどんなアバター制作に挑戦したいですか。

今度はお姉さん系ではなく、ちびっ子タイプや、あるいは男性アバターを作ってみたいです。

── 男性アバターならどんな方向性を目指しますか?

そうですね~……筋肉質でかっこいい男性よりも、かわいい男の子を作りたいですね。

── 「LUMINA」発売後のイベント展開はどのようになっていきそうですか?

試着会は実施予定です。キャストさんも既に声はかけています。日程は未定で、発売後に開催する予定です。

── 「LUMINA」対応アセットの動向も気になります。事前対応の募集はされていましたよね。

衣装だけでなく、メイクやテクスチャ、髪の毛など、幅広い分野のクリエイターを募集しました。結果、2日ほどで約140名が専用Discordサーバーに集まってくれました。

── 140名! それはかなり大規模ですね。

初期対応としては過去に例のない規模になると思います。条件は設定しましたが、基本的には新規デザイン衣装か、新規テクスチャ制作をお願いしています。おそらく「LUMINA」発売日には、BOOTHで対応衣装が一気にリリースされると思います!

── ここまで一気に同時リリースされると、改変するユーザーにとってもありがたいですね。

何を着せようか迷うくらい、幅広い選択肢があるのは良いことだと思っています。
自分としても衣装制作していただけることは光栄だと思っていますし、大歓迎です。

── 「LUMINA」に宿るコンセプトも相まって、新たなアバターコミュニティや文化が生まれる予感があります。どのような世界が生まれるかとても楽しみです!


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