イラストの制作過程を解説!イラストレーター・ファジョボレの作品に宿る、美しい光の表現の裏側
pixivで活躍する世界中のアーティストにインタビューする「Artist's Spotlight」。
イラストの制作工程や細部に込められたこだわり、クリエイターとしてステップアップしていく方法に迫るシリーズです!
今回は、韓国のイラストレーター・ファジョボレさんに、最近の作品制作の裏側や制作プロセスについて、たっぷりと教えていただきました!
ファジョボレさんの活動とイラスト紹介
──まずは簡単に自己紹介をお願いします。

こんにちは! イラストレーターのファジョボレです。代表作には、ホロライブ所属「ReGLoss」のキービジュアルやアルバムジャケットのデザインなどがあります。また個人活動では同人アンソロジー『星間旅行』の制作も行いました。
主にキャラクターデザインとイラストの両分野で活動していますが、最近はイラスト制作の仕事がメインになっていますね。光を用いた表現を得意としていることもあり、イラストのご依頼をいただく機会が多いようです。キャラクターに合わせて、そのキャラクターがそこに存在しているかのような背景やシチュエーションを描き出すことに、楽しさを感じています。
お気に入りイラストの制作工程に迫る!
──最近描かれた作品の中で、特にお気に入りの作品を教えてください。

──この作品を描くことになった経緯と、どのようにインスピレーションを得たのか教えてください。

──この作品を特に気に入っている理由を教えてください。

私が抱く冬のイメージを、うまく形にできたからです。背景に使ったガラスや金属の冷たさと、キャラクターが着ているセーターや帽子の温かな質感が、対比として表現できた点が気に入っています。窓ガラスに映る自分の姿を見つめる視線も、意図した通りに描くことができました。
──この作品を描く中で、一番楽しかったのはどの工程でしたか?

光を表現するのが好きなので、やはり仕上げの補正作業が一番楽しいです。特に帽子の部分で、ウールの質感によって滲む光をレイヤー効果で表現したときが面白かったです。振り返ってみると、光が滲むような表現は、私の絵には欠かせない表現になっている気がします。
そのほかに気に入っている補正としては、すべて描き終えた後にPhotoshopのレンズぼかし効果で距離感を出すのが好きです。レンズぼかしは、単なるぼかし効果とは違って、本当にカメラのピントが合っていないような空気感を作り出してくれるんです。
▼制作過程を特別に公開!「Reflection」が仕上がるまで








──逆に、一番大変だった工程についても教えてください。

ガラスに映った面を表現するのに効率的な方法がなく、一から新しく描くしかなかったので、結局同じキャラクターを2回描く作業になりました。また、下から見上げるアングルをうまく表現したかったので、反射面のパース(透視図法)も計算して描く必要がありました。実は「正確にこう映るはずだ」と厳密に計算したというよりは感覚で描いたのですが、それでも空間を表現する作業だったので、やはり難しかったです。
──そのほかに特に注意を払った表現や、意識した点はありますか?

温かみのあるニットの質感と、帽子の柔らかいウール素材を表現することに力を入れました。暗い領域を一つにまとめて単純化し、それによって光を受ける面がより強調されるように工夫しています。当時はリアルな質感を追求するのも好きでしたが、それを絵画的にどう落とし込むかについても悩みましたね。
「表現したい目標」に合わせて技術を身につけることが大事
──ファジョボレさんは、作品のポイントとなる要素を繊細かつ美しく表現されていますね。このようなディテール表現を完成させるために、具体的にどのような過程を経て完成させているのでしょうか。作品に込めるストーリーの構想についても教えてください。

絵のストーリーやモチーフを決める方法は、これといった決まった手順があるわけではないんです。ただ頭の中に浮かんだものを表現するために資料を探したり、実際に試してみたりといった過程を繰り返している気がします。何か特別なインスピレーションが降りてくる瞬間や、それを意図的に作り出す方法があるというより、普段から好きな映画や小説、経験したことが積み重なって形になっていくのかなと。お仕事の場合はクライアントと意思疎通を図るプロセスがありますが、個人作品はその時々に思いついたものを描くことが多いので、なかなか過程を説明するのが難しいですね(笑)。
それでもお話しできることがあるとすれば、よほど急ぎでない限り、小さなサムネイル(ラフスケッチ)を作る工程を大切にしています。絵を描くときに一番苦しいのは、頭の中にあるイメージと、実際に描き出したものとの乖離が激しいときです。ですが、事前に小さいサイズでサムネイルを作っておけば、自分が具現化できる限界がどこまでなのか、ある程度感覚をつかむことができます。小さく描くので時間もそれほどかからず効率的ですし、絵の練習にもなるので、完成作が納得のいく仕上がりになる確率も高まります。昔はなぜ画家たちは同じ絵をわざわざ2回も描くのか、非効率的ではないかと思っていましたが、多くの人が選ぶ方法には、やはりそれなりの理由がありました。
ディテールの表現はその後に自然とついてくるものです。たとえば、同じ金属の質感でも、冷たくて未来的な感じを出したいときにはコントラストを高く鋭くし、柔らかくリラックスした雰囲気にしたいときは、コントラストを下げて面も柔らかく表現します。
個人的に、技術とは「表現したい目標」に合わせて身につけることが重要だと思っています。ただ闇雲に「上手い絵」を描かなければと漠然と考えるより、自分が表現したいイメージがどんなものなのかを正確に理解すること。それが良い絵を描くための道だと思っています。
好みが細分化した時代だからこそ「私だけのコンテンツ」を作りたい
──クリエイター活動を続けて収益を得たり、ファンの方々に効果的にアプローチするために実践している、ご自身ならではのブランディング方法はありますか?

フリーランスを始めたばかりで成長に必死だった頃と今とでは、方向性がだいぶ変わりました。最初はとにかくたくさんの人に自分のイメージを植え付け、名前を広めなければと焦りを感じていました。そのため、できるだけ多くの人に好まれる絵を描かなければという強迫観念のようなものがあり、当時は人気ジャンルのファンアートを描くことが、私なりのブランディングでした。
今では、知名度も大切ですが、「私のpixivやXをチェックする理由」を皆さんに提供することが重要だと考えています。そのためには、ここでしか見られない特別な感性を磨かなければなりません。たとえ以前より反応が少なくなったとしても、新しい表現を見つけるために冒険してみたいというのが最近の指針です。みんなが一つの大きなトレンドを追うのではなく個人の好みが細分化されている時代だからこそ、なおさら「私だけのコンテンツ」を作ってみたいという欲が強いですね。この後お話しする『星間旅行』も、そういった趣旨から生まれたプロジェクトでした。
──星々の往来が自由になった未来の世界観を描く、アンソロジー画集『星間旅行』。主催を務められましたが、きっかけや印象に残っているエピソードを教えてください。

始めた理由はとても単純でした。オリジナル作品で個人誌を出したかったのですが、スケジュールが合わず、それならアンソロジー形式でやろうと思いついたんです。他の方々と一緒に作業すれば、一人で描く枚数が少なくても、本としてのボリュームは満足いくものになるだろうという計算でした。もちろん、主催者がやるべきことがとてつもなく多いということを当時は知らなかったので、そんな選択をしてしまったのですが……(笑)。
それでも、チームメンバーと力を合わせて世界観を作り上げ、大変なときは分担して解決するというのは、一人では決して得られなかった貴重な経験です。苦労しながらも話し合いを重ねて、力を合わせるほど、本のクオリティが上がっていくのを肌で感じました。
専用のXアカウントでの宣伝や、世界観の設定、本の構成など、すべての要素がメンバー全員で作り上げたものです。自分たちが好きで取り組んだオリジナル作品に、これほど大きな反響をいただけるとは思ってもみませんでした。これからも創作活動を続けていくための大きな希望になりました!
──最後に、ファンの皆様と読者の方々にメッセージをお願いします。

私の絵を見てくださる皆さま、いつもありがとうございます! 素晴らしい絵が溢れるこの世界で、私の絵を見つけて好きでいてくださることは、私にとって奇跡のようで、本当にありがたいことだと感じています。最近はお仕事などが忙しく、個人制作になかなか手が回りませんでしたが、2026年は、もっと多くのオリジナル作品をお届けしたいと思っています。
また現在、講師として教えている中で、学生さんから「上手い人が多すぎて気後れしてしまい、絵を描くのが辛い」という悩みをよく聞きます。確かにSNSやインターネットのおかげで技術の高い方は格段に増えましたが、その分市場の規模も大きくなり、活動できる手段や場も増えたというポジティブな側面も、ぜひ心に留めておいてほしいです。
絵を描きたいと思っている皆さまが、ご自分の好きな絵を楽しく描き続けてくださることを願っています。
──ファジョボレさん、ありがとうございました!






