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インタビュー
2022.04.15

好奇心を創作に還元する。イラストレーター海島千本 インタビュー

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構成/原田イチボ@HEW

イラストレーターでマンガ家の海島千本さんの初個展「Rooms」が、東京・表参道にある「pixiv WAEN GALLERY」にて2022年5月5日(木・祝)まで開催中。4月14日(木)に新刊『Rooms 海島千本イラスト+コミック集』(PIE International 刊)が発売されるのを記念して、同画集のイラストを中心に約80点を展示。会期後半には一部入れ替えを行い、合計で110点以上の作品を展示します。

豊かな背景描写と柔らかな色使いに定評のある海島さん。外国の街並み、猫、メイド、植物、海の生き物、インテリアといった多彩なモチーフは、どのように身に着けたものなのでしょうか?

海島千本(うみしま せんぼん)
  • 海島千本(うみしま せんぼん)
  • 海と島と旅行、干し芋が大好き。 アニメーターとしてキャラクターデザイン、 総作画監督などを担当した後、 現在は主にイラストレーター・漫画家として活動。 2022年2月よりショート&オムニバス漫画『Rooms』を連載中。 画集『千本の花束 海島千本作品集』(PIE International 刊)、 短編集『プリズムの咲く庭』(新潮社)が発売中のほか、22年4月には画集『Rooms』(PIE International 刊)が発売予定。

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健やかに創作を続けるために、取り入れる情報を絞る

── 本日はインタビューをお受けくださり、ありがとうございます。

あまり話すのは得意ではないのですが、よろしくお願いします。

基本家でゴロゴロしている海島の一意見なので、あまり真に受けすぎずに聞いていただけると嬉しいです。3日後には違う事言ってそうだし……。

── 海島さんは他のクリエイターさんの情報を見たり、調べたりすることは控えているんですか?

マンガを描いているとき、お話作りや脚本の本などを見すぎて何が正解かわからなくなってしまった時期がありました。今はネットでどこまでも情報収集ができてしまうので。

「自分は何がやりたいのか?」を一度ゆっくり考えた上で、そのために必要なことを絞って取り入れるのがいいと思います。

あとパソコンや本や映画をじーっと見すぎると目が疲れるので目は大事にしましょう。

── どんなものを創作の参考にするのがいいでしょうか?

絵に関しては写真など現実のものを創作の参考にするといいかもしれません。私も現実のものからインスピレーションを受けることが多いですね。

アニメーター、イラストレーター、マンガ家。3つの分野を経験

── 海島さんは、アニメーター、イラストレーター、マンガ家を経験していますよね。小さな頃から絵を描くことがお好きだったんでしょうか?

そうですね。子どもの頃のお絵かき帳を見ると、なぜかカタツムリばかり描いていました。虹を渡るカタツムリとか(笑)。

── 早い段階で、絵の仕事をすることを意識していたんでしょうか?

中学生くらいの頃に絵を仕事にすることをぼんやり考えていた気がします。

人格的にあまりに怠惰な上、人前に出たり喋ったりするのが極めて不得意なので、なんとかヒキコモリつつ生きなければと昔から感じていました。常に昼まで寝てる。

髪はおんなの、

by 海島千本

8
短編マンガ「髪はおんなの、」。マンガ単行本の『プリズムの咲く庭 海島千本短編集』(新潮社)に収録されている。

── 海島さんはマンガやイラストでも「動き」に焦点を当てた描写をよくされますよね。これはアニメーターを経験したからでしょうか? それとも昔から動きというものに興味関心があったのでしょうか?

そこは明確に分けて語るのが難しいですね。動きを描くのは好きですが、最初から「イラストレーターになろう」や「マンガ家になろう」と考えて絵を描いてきた人とは少し違うのかもしれません。

🌼𝓢𝓹𝓻𝓲𝓷𝓰 𝓳𝓸𝔂𝒔

by 海島千本

4

── 3つの道を全部経験したからこそ、それぞれで学んだことが相互作用している感覚はありますか?

自覚はしていませんが、そういった部分はある気がします。

あんまり関係ないですが、ネームを描いたときでキャラクターと背景を色分け、影つけして提出したら、編集さんに「初めて見ました」と驚かれました。アニメーターの癖。

練習方法は今も昔も「デッサンとクロッキー」

── 海島さんは早いうちから絵を仕事にすることを視野に入れていたとのことですが、どのように絵の練習をしてきましたか?

特殊なことは全然していません。デッサンとクロッキーを自然と毎日続けていました。どんな練習をすべきかは人それぞれですが、「継続が一番」というのはその通りなんじゃないでしょうか。「自分はどんな練習をするといいか」を考えてみて、何か良い答えが見つかれば、それを毎日やってみるのがいいと思います。たとえば自動車を描くのがとても好きで、自動車に強いイラストレーターになりたいのであれば、デッサンやクロッキーよりも毎日車を描いたほうが目標に早く近づけるのかもしれません。

── 今はどのように絵の練習をしていますか?

今は主にクロッキーですね。長時間のデッサンはやらなくなりましたが、スケッチはたまに……。ただ練習というか、クロッキーは「とりあえずやるか」という気持ちというか……。飲みたいときにコーヒーを淹れるような感覚に近いですね。わざわざ「やるぞ!」と意気込むわけではなく、やりたい時に自然とやっているけど、別にコーヒーを飲まない日もあるみたいな……。そういう感覚でクロッキーは続けています。娯楽……?

── 絵を描いていると、「なんか違うな」というところから抜け出せずに迷走することがあると思います。スランプになったときはどうしますか?

「なんか違うな」じゃなくなるまで手を動かし続ける。もしくは制作から一時離れて、ご飯を食べたり寝たりするかですね。「ひたすら描くか、いったん気分転換をするか」はどの作業で詰まっているかによって変わります。良いアイデアが出ない場合は気分転換をします。でも人物が上手く描けずに困っているようなときは、気分転換をしても仕方ありませんよね。実際に描く作業で詰まったときは、人間だったら自分で撮ったりすればいいのではないでしょうか。

「作風」にこだわらず、自由にいろいろ描いてみる

── 現在の作業環境を教えてください。

昔からPhotoshopを愛用していて、たまに気分を変えたくてCLIP STUDIOやSAIも使っています。あと、Apple Pencilがどっかいっちゃったのでもう使ってませんが、iPadを使ってました。Apple Pencilどこいったんや。

── 海島さんは、いろいろな塗り方を披露していますよね。それも「気分を変えたくて」ということでしょうか?

そうですね。その時々の「これ、やってみよう」という気持ちに沿って、自然に変わっています。あまり「これが自分の描き方だ!」みたいに定める気持ちはないんですよね。良いのか悪いのかわかりませんけど…。

10年後、20年後は今と全然違う描き方をしているかもしれないし、どれが良かったかはすごく未来になってみないとわかりません。だから、あまりこだわりすぎずに自由に描くのがいいのかなと思っています。

𝙰𝚖𝚋𝚎𝚛 𝚏𝚕𝚘𝚠𝚎𝚛

by 海島千本

2
ただ、初めて出した画集の担当の方には「何を描いても海島さんの絵ってわかりますね」と言われました。作風って、そういうふうに自分では強く意識していなくても、周囲が自然と見出してくれるものなんでしょうね。

2018年発売の初画集『千本の花束』(PIE International刊)。現在は電子書籍版のみ販売。アニメーター時代の仕事や、オリジナルイラスト、短編マンガなど多岐にわたって収録。

── その人の作風がどんなものかは見る側が決める、と。

作風に限らず、作品自体も見る側に委ねるものだと思っています。私が描き終わった後は、作品との一対一の関係が見てくれる方の数だけ生まれて、作者だからといって自分がその関係にずかずか入り込めるものではありません。もちろん自分が手掛けた作品のことは覚えていますが、そういう意味では「描いたら終わり」に近い感覚かもしれません。

「こういうインテリアがあったらかわいい」を詰め込んだシリーズ

── 今回の個展は、『Rooms』シリーズを中心にした内容です。このシリーズのアイデアは、どのように生まれたのでしょうか?

「緑のタイルってかわいいよな~。タイルを描くなら、洗面所が舞台かな~」という単純な思いつきで、最初の作品が生まれました。何作か描いているうちに編集者の方から「部屋をテーマにしたシリーズで画集を作るのはどうでしょうか」と提案いただきました。

『ゴシュジンちゃんと服を着るニャ』

by 海島千本

── キャラクターの設定を考えてからインテリアを決めているわけではなく、「こういうインテリアがあったらかわいい」のようなビジュアル優先で描いているのでしょうか?

そうですね。だから、「こういうのがあったら、かわいいよね。こういうのもいいよね」とけっこう行き当たりばったりな進め方ではあります(笑)。

── では、描いているうちに新たなアイデアがまた浮かんで、小物を増やすようなことも?

ラフが決まるまではそんなかんじでふにゃふにゃです。ラフを描いたら、線画を描いてあとは塗りだけ。ラフが決まれば完成形まで変更はほとんどありません。

── これだけ多彩な部屋を生み出せるということは、海島さんは普段からインテリアに興味があるのでしょうか?

インテリアの通販サイトは毎日チェックしていますし、永久に見ていられます……! 実は明日もアンティークのランプが届くんですよ。通販でいろいろ買いすぎて、自宅の一室がダンボール置き場になっています(笑)。

── いいなぁ……、自分は築古のふすまの部屋に住んでいるので……。

DIY次第でいくらでも素敵になりますよ! ふすまを取り外して押し入れを作業用デスクにアレンジするのが流行っていますよね。ふすまに壁紙を貼ってみてもかわいいですし……。

── パッとアイデアが出てくるあたり、本当にインテリアがお好きなことが伝わります。

人の家だと無責任にいろいろ言えますよね(笑)。絵も無責任にやれるところが楽しいです。私が描いている家具って現実だと自立しないようなものもあります。車輪がついている椅子とか、実際あったら転がって危ない。でもせっかくのイラストなんだから、見た目のかわいさを優先させちゃっていいと思っています。

📚Reading Time.

by 海島千本

旅行やダイビング、もともとの趣味が創作に繋がる

── 外国の街並み、猫、メイド、植物、海の生き物、インテリアなど、海島さんは絵のモチーフにしているものが多いですよね。

どれも「絵のモチーフにしよう」と思って触れているわけではなく、単純に普段から好きなものなんですよ。今はコロナがあるので難しくなってしまいましたが、旅行やダイビングはもともと趣味です。旅先で撮った写真を資料にすることも多くて、クロアチア旅行に行った経験をもとに「Date with a CAT in Dubrovnik」という短編マンガも描きました。

【短編漫画】アドリア海の真珠、古都ドゥブロヴニクで、1人の女性と1匹の猫のとある1日のお話です。みなさまが、一緒に街を歩いている気分になって頂けたら幸いです🐱https://t.co/fKlzWbhJce pic.twitter.com/0i7TcLckbJ

— 海島千本🐟画集と個展 (@Kaisen_Tobiuo) February 8, 2019

「Date with a CAT in Dubrovnik」は、くらげバンチHPや、単行本『プリズムの咲く庭』(新潮社)にて読むことができる。

── 好きなものがたくさんありますね。

そのほうが人生楽しいですからね!

── 海島先生の作品は鮮やかな色合いも印象的ですが、どのように色選びをしていますか? 『Rooms』シリーズは小物まで細かく描き込まれていますが、すっきりとまとまった印象を受けます。

実際使っているのは意外と3、4色くらいなんですよ。このイラストを見ると、わかりやすい気がします。黄色、ピンク、水色、赤を使うと决めたら、その4色を中心にして、細かい部分もそれらを弄った色で塗っていきます。そうすると自然とまとまりが生まれるはずです。

🐈encount🐈

by 海島千本

3

── なるほど。自分は「植物=グリーン」のように「これはこの色で塗らなきゃダメだ」と固く考えてしまった結果、どんどん使う色の数が増えてゴチャゴチャしてしまっていた気がします。

「この世界のサボテンは青いんだな」と大らかに塗っていけばいいと思います(笑)!

── 個展の見どころを教えてください。

これは私よりも、実際にレイアウトなどを考えてくださっているpixiv WAEN GALLERYの担当者さんから答えていただくほうがいいかもしれません。

STAFF
『Rooms』のイメージに合わせて、壁にドライフラワーをかけるなどプライベートな部屋っぽい雰囲気を演出しました。海島さんのイラストからカラーを抽出して壁紙も作りました。あとは海島さんの柔らかな作風を生かすために多くのイラストをキャンバスアートにて展示しています。前期と後期に分けて作品を展示するのも「pixiv WAEN GALLERY」としては初の試みです。

ありがたいです! 先ほど言った通り、私が描いたあとは、作品は見る人によって自由に感想を持っていただければと思います。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

── 最後に、クリエイターとして今後の展望を教えてください。

また何か本が出せたらうれしいですね。

── 刊行されたばかりの作品集『Rooms 海島千本イラスト+コミック集』(PIE International 刊)をぜひチェックしてみてください!

個展「Rooms」は東京・表参道にてゴールデンウィーク期間の5/5(木)まで開催中です。気軽にお立ち寄りください。

海島千本画集『Rooms 海島千本イラスト+コミック集』発売中!

定価:1,800円+税

判型:A5判正寸(210mm×148mm)

発売日:2022年4月14日(木)

商品詳細:https://pie.co.jp/book/i/5476/

海島千本初個展「Rooms」開催中!

pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、海島千本さんの初個展「Rooms」が開催中です。


個性豊かな部屋とそこに住む女の子を描いた人気シリーズ「Rooms」を中心に、約80点のイラストを展示。4/25(月)には作品の一部を入れ替えますので、会期前半と後半で二度楽しめます。海島さんのイラストに合わせた特注の壁紙や、ドライフラワーを使った装飾など、会場にもこだわっています。個展会場で画集を購入いただいた方にはサイン本が当たるチャンスがあったり、展示物の先着購入ができたりと、盛りだくさんの内容です。詳しくはHPをご覧ください。


開催期間:4月8日(金)~5月5日(木)

※4/25(月)から展示作品の一部を入れ替え

定休日:なし

入場無料

所在地:東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F

営業時間:12:00~19:00


>>pixiv WAEN GALLERY公式HP<<

>>公式Twitter<<

※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。


※新型コロナウイルスへの対策について

海島千本個展「Rooms」について、現時点では5月5日(木)までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染状況により、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

グッズのWEB販売も!

BOOTHにて個展販売グッズの一部をご購入いただけます。海島さんのイラストを使ったかわいいグッズをぜひゲットしてください。

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