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インタビュー
2025.01.15

単語カードを使って、グラデの組み合わせをメモする。「コピックアワード2024」受賞者よぽはまだ見ぬグラデーションを探求中

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インタビュー/原田イチボ

コピックを使って制作した作品のコンテスト「コピックアワード 2024」の受賞作品が発表されました。70カ国・地域から3600点を超える応募作が集まったなか、よぽさんが描いた『なりかけの私たち』が「pixiv賞」に選ばれました。


小学生のときにコピックと出会い、コピックでのイラスト制作歴は約20年間に及ぶというよぽさん。デジタルイラストが主流の時代に、あえてコピックを極めようとする理由は? コピックの魅力や、テクニックについて聞きました。


>>コピックアワード2024 結果発表<<

よぽ/なりかけの私たち

目次
  •  受賞作の一部は左手で描いた
  •  私の推し色を擬人化したら?
  •  仕事の傍ら4か月かけて制作
  •  「手が覚えている」状態を目指した
  •  「何を描きたいか?」から逆算して色をそろえる
  •  塗りムラは試しに紙を変えてみる
  •  いつか個展を開くのが目標
  •  よぽさんの他の作品はこちら!
  •  「コピックアワード2025年」開催決定!

受賞作の一部は左手で描いた

── まずは「pixiv賞」受賞おめでとうございます! 受賞したときの気持ちを教えてください。

職場の昼休み中だったんですが、結果発表のページを見て、涙が出るくらいうれしかったです。審査コメントではラメを使っていることや、作品との距離によって見え方が変わることにも触れてくださっていて、「こんなによく見てくれているんだ」とありがたい気持ちでいっぱいでした。

── よぽさんは、過去にも「コピックアワード」に応募していますよね。今回の応募作の手応えはどのようなものでしたか?

何度か応募してはいますが、実は「絶対に入賞するぞ!」という気持ちで臨んでいるわけではないんです。良く描けた作品というよりは、自分なりに新しい表現に挑戦した作品を応募しています。

── 今回の作品でいうと、「新しい表現」というのは?

普段はグラデーションを多用することが多いんですが、今回は、ムラなく塗るといった基本を大事に制作しました。あとは配色とか線の感じですね。特に線でいうと、私は右利きなんですが、今作の真ん中の下部あたりは左手を使って描いています。利き手で絵が描けなくなったらどうしようと想像して不安になったのと(笑)、不安定な線が逆に味につながるんじゃないかと考えたからです。

── なるほど。過去作と比べて、線の流れというか、視覚的なリズムに重点を置いている印象でしたが、その秘訣が「左手で描く」だったんですね。普段の作風からすると色数も絞っていますよね?

そうですね。もともと今回の作品は展覧会のために描いたもので、その展覧会のテーマが「私の推し色」でした。キーカラーは、本格的にコピックでイラストを描くようになったころから愛用している3色です。ほぼその3色縛りで進めました。

── 全部でコピックを何色くらい使いましたか?

キーカラーの3色プラス灰色2色、背景に使った藍色などで、全部で10色程度かな。自分としてはかなり少ない色数です。

私の推し色を擬人化したら?

── 受賞作に裏設定のようなものはありますか? それとも視覚的な気持ちよさを優先して、あまり作品のストーリーなどは意識しないタイプですか?

いつもはほぼ感覚優先なんですが、この作品は、展覧会のテーマに合わせて、「私の推し色を擬人化したらどうなるだろう?」というアイデアがもとになっています。なので、最初にキャラのラフを描いて、それぞれの性格などを考えました。ライラックは花のイメージでおしとやかで、ショックピンクは力強い。オレンジは一般的には元気なイメージの色ですが、ほかふたりとの対比を演出するために、大人しい子になりました。

── この子たちは、よぽさんのオリキャラとしてほかの作品にも登場しているのでしょうか?

まだネット上で公開してはいないんですが、この子たちを描いた作品はほかにもあります。気に入っているので、今後もまた描きたいですね。

── 受賞作で使用した紙についても教えてください。

コピックが公式で出している「画学紙」です。表面に少しざらつきのある厚手の紙で、すごく鮮やかに発色してくれるので、グラデーションが作りやすいんです。キーカラー3色はグラデにすると夕焼けみたいに見えるので、その組み合わせを生かすために画学紙を選びました。

── ほかの紙を使うこともありますか?

コピック公式の「カスタムペーパー」を使うこともあります。グラデの作りやすさという点では「画学紙」のほうが上ですが、こちらはペンの滑りが良いので、ペンをたっぷり使いたいときは「カスタムペーパー」を選びます。紙に関しては今も試行錯誤を続けていますが、コピックさんが公式で出している紙を使うことが多いですね。

── コピック以外で使う画材は? 受賞作ではラメを使っていますよね。

はい。ラメ入りの水彩絵の具を使いました。あとはボールペンやホワイトも使用しています。今回は使いませんでしたが、ネイルパーツで立体的にキラキラさせることもあります。もはや画材じゃないんですけど(笑)。

仕事の傍ら4か月かけて制作

── 制作期間はどれくらいでしょうか?

平日は仕事があるので、休日に一気に進めるような感じで、だいたい4か月かかったと思います。

── 一番時間をかけた工程は?

着色ですね。いつも線画はそのときの直感で描くことが多く、色の配置を決めたり、塗ったりの段階で時間をかけています。着色が一通り終わった後にホワイトやカラーペンで仕上げる装飾的な工程も、楽しくはありますが時間がかかります。

── 普段のお仕事はイラストやデザインに関係するものなんでしょうか?

いや、もう全く関係ない業種です(笑)。

── そうなんですね! 平日は仕事をしながらの制作となると、途中で挫けてしまう人も多そうですが、よぽさんは4か月間どのようにモチベーションを保ったのでしょうか?

学生時代と違って、今はほとんど休日の限られた時間しか作業できませんからね。自分の身体を大事にすることを優先に、無理しすぎず、描きたいときに描くようにしていました。なので、描きたくないときはもう割り切って、ゲームをプレイしたり、漫画を読んだり、気分転換をしていました。

── カレンダーで最低限の工程管理などはしていますか?

同人誌や展覧会など絶対に〆切を破れないときだけ、さすがに大まかなスケジュールを決める程度です。

── 描くスピードは速いほうですか?

今回の応募作も線画自体は1日あれば半分は終わるので、周りと比べたら速いほうかもしれません。ただ、丁寧にやらないとリカバリが効かないので、塗る作業のときはじっくりコツコツやっています。

── 今後も「コピックアワード」に作品を応募する方針ですか?

大好きな企画なので、できれば毎年応募したいとは考えています。いろんなテイストの作品が集まって刺激をたくさん受けますし、自分にとって、「コピックアワード」が成長の機会になっています。

「手が覚えている」状態を目指した

── コピックでのイラスト歴を教えてください。

20年間くらいです。小学生のころ、画材屋さんに色順で並んでいるところに一目惚れしました。

── 世代的にはコピック全盛期だったのでしょうか? それともデジタルが主流でしたか?

自分の周りは、「昔はコピックを使っていたけど、そのうちデジタルに移行した」という人が多いですね。当時は今ほどインターネットが身近なものではなかったので、コピックを使ううえで参考にできるのは書籍でした。技法書のような本や、メイキング特集のあるイラスト投稿雑誌を買ったりしていました。基本的には独学で、何度も失敗しながらコピックの扱いを覚えていきました。

── 周囲がデジタルに移行する一方、よぽさんがコピックを使い続けたのは、どんなところに魅力を感じたからですか?

決して簡単に扱える画材ではありませんが、自分自身の手できれいに色を塗ることができたときの達成感は格別です。ひとつの絵を少し傾けて見てみたり、遠くから見てみたりすることも好きなので、アナログ派を続けています。

── よぽさんはデジタルでイラストを描くこともあるそうですね。デジタルかアナログか、どのように使い分けていますか?

オリジナル作品はコピックで、好きなキャラのファンアートを描くときはデジタルを選ぶことが多いかもしれません。オーバーレイや乗算などデジタルならではの表現を使いたいときもデジタルですね。もちろんデジタルの表現も魅力的なんですが、小さいころから触れてきたぶん、自分としてはアナログのほうがどうしても馴染み深いんですよ。

── コピックの扱いに慣れる前に挫折してしまった人は多いかと思います。よぽさんはイヤになりませんでしたか? 「いつか使いこなしてやる!」と逆に奮起する性格だったのでしょうか?

たしかに失敗したときも「次はこうしてみよう!」と感じる性格なのかもしれません。とはいえ自分にも絵を描く気が起きず、コピックに触れていない時期がありました。そういうときはデジタルで気分転換したりしていました。結局、練習あるのみなんですよね。いらない紙に濃い色から薄い色、薄い色から濃い色でそれぞれグラデーションを塗ってみたりして、「手が覚えている」状態を目指しました。

「何を描きたいか?」から逆算して色をそろえる

── 特に学生のうちは、コピックをある程度そろえるだけでも一苦労ですよね。よぽさんはどういう順番でそろえていきましたか?

私は何もわからず、赤とか青とか濃い色から集めていったんですよ……。自分の好きな色を順番に買っていったら、使い勝手の悪いラインアップになってしまって、余計にお金がかかってしまいました(笑)。薄い色や中間色からそろえたほうが、汎用性は高いはずです。ほかにアドバイスするとしたら、いったん「自分は何を描きたいのか?」を考えてみるのが良いと思います。人物が描きたいなら肌や髪に使える色、自然物を描きたいなら緑や空の色からそろえるのが効率的ですからね。

── よぽさんは現在、コピックを何本くらい持っているのでしょうか?

ほぼ全色持っていますが、普段よく使う色は10~20本くらいでしょうか。

コピックを含めた文房具はラックにまとめて収納しているそう。さらにコピックは色ごとにトレイに入れて管理。

制作を中断するときは使用している色をポーチに入れて保管。こうすると、すぐに作業が再開できるのだそう。

── コピックを扱い慣れた人だと、手持ちの色同士の組み合わせが頭にパッと浮かぶそうですが、よぽさんもそうですか?

何度も使っている色はそうですが、やっぱり忘れちゃうこともありますね。自分の作品をあとで見返して、「このグラデってどの色で塗ったんだっけ?」と首をひねったりとか(笑)。なので単語カードを使って、配色をメモしています。便利ですし、見ているだけでも楽しいですよ。

紙がバラせるカードリングの単語カードを使用しているそう。

塗りムラは試しに紙を変えてみる

── コピック初心者の大きな壁として、「塗りムラ」問題があります。克服するには練習あるのみでしょうか?

そうですね。ただ、コピックは紙にけっこう影響される画材なので、試しに紙を変えてみたら解決する場合もあるんじゃないでしょうか。もっと厚い紙にしてみたらムラなく塗れた……なんてこともあると思います。今はいろんなイラストレーターさんがハウツー動画やメイキング動画を公開しているので、きっと自分の悩みにフィットする内容のものが見つかるはずです。

── コピックでのイラスト制作はどうしても「最後の最後で失敗してやり直し」という可能性がつきまといます。そういう事態をなるべく避けるためのコツはありますか?

「最初は薄い色から塗ったほうがいい」というアドバイスをよく見かけますが、私の場合、キーカラー的な絶対に外せない濃い色から塗って、あとでサブの色を塗っていきます。サブの色なら多少失敗しようが、コピックの0番でぼかしたりして、どうとでもなりますから(笑)。デジタルに比べてコピックはたしかに修正が効きづらいかもしれませんが、薄い色でにじませたり、ボールペンで線を重ねたり、ホワイトを乗せたり、ある程度は案外カバーできるものですよ。

── まとまりのない色使いにならないために気をつけていることはありますか?

私はいつも使いたい色が多いからなんとも言えないんですが(笑)、メインの色とは別に、グレーや中間色を合間に挟むようにしています。あとは背景を白や黒にするとか、絞るところは思い切って絞ります。

いつか個展を開くのが目標

── 色の配置は最初にカチッと決めますか?

配色のラフは作りますね。頭の中で「このあたりはあの色で塗る」というイメージがだいたい固まってから塗り始めます。

作品に直接反映されない場合もあるけれど、作品イメージを具体化するために作成するそう。誌面右下は全体図のラフ画。

── 最初にしっかり決めすぎた結果、絵を描く工程が完全に作業になってしまって楽しめなくなっている人もいるかと思います。よぽさんの中で、「ここまでは決めるけど、ここからはそのときのテンション次第」という境界はどのように引いていますか?

うーん。今の私は正直、人物の目と髪の色さえ決まれば、あとは全体の雰囲気に合わせてざっくり進めちゃっていいかなと思っているんですよね(笑)。たしかに昔は「絵というものは絶対に完成させるべきで、失敗したらそこで終わり」という不安があったんですが、このごろは、「次もっと上手く描けばいいか!」と失敗も楽しめるようになりました。まずは楽しまないと始まらないので、最近は楽しさ重視です。


たしかにコピックはデジタルに比べてリカバリの難しさがありますが、失敗を経験するうちに、きっといつかできるようになります。まずは失敗を恐れず、自分の描きたいものをのびのびと描いてみるといいんじゃないでしょうか。たとえ失敗したとしても、次に生かせることがあるはずです。

── よぽさんも失敗はよくあることなんですか?

もちろん。世に出した作品の裏に、失敗作が大量に存在します(笑)。

── そう聞いて、元気が出ました(笑)。「大ざっぱな性格の自分にはコピックは向いていない」と考えている人もいそうですが、そういうものではない?

大ざっぱな性格なら大胆な絵を描けばいいし、きっちりした性格なら繊細な絵を突き詰めていけばいいだけで、「自分はこうだから」と最初から諦めてしまうのはもったいないんじゃないかなという気がします。

── 全くその通りですね! あらためて、よぽさんが考えるコピックの魅力とは何ですか?

たまたま画材屋さんで出会った画材がここまで自分に合っていたとは、奇跡というかラッキーというか……。きれいな発色を自分の手で生み出せる喜びは、一度知ったらやみつきになるものだと思います。これからも自分がまだ見たことのないグラデーションをもっと見つけたいですね。

── 最後に今後の目標を教えてください。

今の職場が副業禁止なのもあって、商業で絵を描いた経験はまだないのですが、ずっと興味はあるので、チャンスがあればぜひ挑戦したいです。あとは同人イベントやグループ展、企画展などに参加する回数を増やしていって、ゆくゆくは個展を開くのが目標です。

よぽさんの他の作品はこちら!

よぽさんのSNS一覧はこちら

X:https://x.com/lllooo4po

Instagram:https://www.instagram.com/yp0abstract

Xfoilo:https://xfolio.jp/portfolio/lllooo4po

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