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  • 1枚絵としての魅力と、設定を通じた深みを両立する。イラストレーターろるあの「物語」へのこだわりとは?
インタビュー
2022.07.15

1枚絵としての魅力と、設定を通じた深みを両立する。イラストレーターろるあの「物語」へのこだわりとは?

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  • イラスト制作
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インタビュー/原田イチボ

イラストレーターろるあさんの初個展「渇」が、東京・表参道にある「pixiv WAEN GALLERY」にて2022年7月27日(水)まで開催中です。オリジナルイラストを中心に、過去担当した版権イラストや、同展のために描き下ろされた9点の新規作品も展示しています。

ろるあさんのイラストは、描かれているもの以上の世界の広がりを感じさせるところが魅力です。設定やストーリーなどのバックグラウンドと、「1枚の絵としてのおもしろさ」を両立させるこだわりを明かしてくれました。

ろるあ
  • ろるあ
  • 東京都在住のイラストレーター。 SNSを中心に活動中。 代表作に、にじさんじ所属▽▲TRiNITY▲▽1stアルバム『PRiSM』ジャケットイラスト、『Ready Steady』(Giga)MVイラスト、pixiv監修イラスト集『VISIONS EDGE ILLUSTRATORS BOOK 悪と力』(KADOKAWA)装画担当など。

  • pixiv
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絵そのものをアップデートしていくようなクリエイターに惹かれる

── イラストレーターとしてのキャリアは何年目でしょうか?

2019年頃からイラストの仕事をいただくようになりました。当時はゲーム会社に所属して絵を描いていましたが、個人で案件も受けており、徐々にそちらの比重が高くなってきたので独立しました。

夕空の突風

by ろるあ/Rolua

2019年投稿のオリジナル作品

── 昔から絵を仕事にすることを意識していたのでしょうか?

そうですね。中学生時代、学校の帰り道で友達に「美大に行くんだ!」なんて言っていました(笑)。結局、美大には進まなかったんですけどね。とはいっても、デザインを学べる学科ではありました。いったん違う分野を学んだ上で、それでも絵が好きならまた考えようと思ったんです。大学でプロダクトデザインやインテリアデザイン、グラフィックデザインなどを勉強した結果、自分はやはりキャラクターを描くことが好きだと再確認し、あらためてイラストレーターになりたいと感じました。

── では、絵は独学ですか? どんなふうに練習してきたのでしょうか?

練習らしい練習はしていないというか、「練習」と思って絵を描いたことがあまりないかもしれません。とりあえず自分が描きたいものを描いて、「ここの形状はどうなっているんだろう」など作業中にわからないことが出てきたとき、その箇所について調べていました。あまり効率のいい方法ではないかもしれませんが……。

── 自分の描きたいもの優先であれば、「練習しなきゃ」とプレッシャーに感じすぎることはなさそうですね。

無理なく続けて描くことが重要だと思います。ただ、単なるラクガキで終わらせず、いったん完成と言える状態まで仕上げるようにはしていました。

── 影響を受けたクリエイターを教えてください。

学生時代はしらびさん、ゆーげんさんたちの同人誌をコミケで買っていました。直近だと、6月に開催されたクリエイティブ集団・SSS by applibotの展示がとてもよかったです。アニメーターのはなぶしさんのオリジナル作品『ピギーワン』のゲーム化が決定したのにも注目していますし、こむぎこ2000さんが作るアニメーション映像も好きです。

イラストの領域に他の分野を組み合わせることで、絵そのものをアップデートしていくような気概を感じるクリエイターに惹かれる傾向があります。もちろん、れおえんさんなど、純粋にイラスト単体で好きな方もたくさんいます。

── 過去に尊敬するクリエイターとして、新海誠監督を挙げていましたね。大学の卒業制作は、架空のアニメーション映画の予告編だったとも聞きました。

新海監督は、会社員をしながらほぼひとりで『ほしのこえ』を完成させました。恐ろしい話ですよね。良い意味で異常なバイタリティがないとできないことで、その部分も含めてリスペクトしています。2002年に『ほしのこえ』が作れるなら、今の時代に同じことができないわけがない。僕は負けず嫌いなので、負けたくないと(笑)。

キャラのバックグラウンドなどを决めた上で、演出に反映する

── 卒業制作でアニメを作るのはなかなか大変だと思うのですが、アニメーション表現に思い入れがあるのでしょうか?

「物語」が好きなんですよね。イラストには1枚の瞬発力はありますが、物語を伝えるにはどうしても力不足な面があるかもしれません。ひとつのストーリーを打ち出すためには、もっと時間軸を使う何かが必要なように感じます。音楽、小説、マンガなど、いろいろ形式はありますが、私はアニメに一番興味があります。

── ろるあさんの描くイラストにも裏ストーリーのようなものが存在するのでしょうか?

ストーリーとまではいかずとも、「このキャラのバックグラウンドは、どんなものだろう?」のようなことは考えながら描いています。そういった部分まで考えておかないと、散漫な仕上がりになってしまうんですよね。

縷ル白雨

by ろるあ/Rolua

── たとえば室内のイラストを描くとしたら、「こういうインテリアが描きたい!」とビジュアル優先で描き始めるイラストレーターか、「住人はこういう性格でこういうライフスタイルで、それなら部屋にこういうものがあるはずだ」と設定やストーリー優先で描き始めるイラストレーターに分かれるように感じます。ろるあさんはどちらのタイプですか?

それで言うと、私は後者ですね。いったん頭で考えてからじゃないと作業に移れないタイプです。手を動かすうちに「こういうモチーフっていいかもな」とか言語にしきれない感覚が混ざってくることはありますが。

ただ、イラストのバックグラウンドをいろいろ考える一方で、「単に設定を説明するだけの絵はつまらない」とも感じています。ストーリーを伝えると同時に、イラスト単体としておもしろいものでないといけない。そのバランスは意識しています。

── ご自身の作品を例にして、もう少し詳しく教えていただいてもいいでしょうか。

この『新しい私』という作品は、ワコムオンラインセミナーでのライブドローイングで制作したものです。先方から提示された「光と影」というテーマに沿って、ひとりの人間の二面性を表現することを思いつきました。

この女の子は素の自分が嫌いで、装って周囲と接するうちに「自分のはずなのに自分じゃない」という違和感を抱くようになってしまいました。他人に見せているキレイな姿と、ドロッとした内面。光と影の表現によって、その二面性を演出しました。

新しい私

by ろるあ/Rolua

2

── なるほど。キャラクターのバックグラウンドなどを决めた上で、それを演出に反映して、イラストとしてのおもしろさにつなげていくんですね。

まさにそういうことです。バックグラウンドに引っ張られた絵はおもしろくないけど、バックグラウンドは絵に深みを生んでくれます。ビジュアルを大事にしつつ、設定なども深掘りする。その両輪で考えています。

「安定したもの」を絵の中に盛り込む

── ろるあさんのイラストはどれも動きを感じさせるというか、パッと見たときの気持ちよさがありますよね。特にバストアップの構図は、下手をすると証明写真のように味気なくなりかねない難しさがありますが……。

バストアップは自分も苦手でしたが、去年末にふと描いてみたら意外と良い感じに仕上がったので、それからはよく描くようになりました。仕事でもバストアップや顔アップで依頼されることがよくあります。

Psykhe

by ろるあ/Rolua

── 同じバストアップの構図のイラストでも、手や髪などでバリエーションをつけていますよね。

「手を顔にあてる」「髪をかきあげる」などパターンはありますが、その中で少しずつズラすようにしています。

ただ個人的に、同じ構図やモチーフで描いていても不思議と飽きさせない作家が一番強いと思うんですよ。絵そのものが強いということなので。そういう作家さんは、同じ要素を惰性で描き続けているのではなく、「これが良いんだ」と信じた上で、毎回チャレンジを続けている。だからいつも新鮮なんだと思います。

── 漠然とした質問になってしまいますが、「見ていて気持ちいい」感のあるイラストを描くためにはどうすればいいと思いますか?

言葉で説明するのが難しいですが、絵の中に「安定したもの」があるといいんじゃないでしょうか。手や髪の毛、服のシワなど「これがしっかり描けていると、絵が上手く見えるよね」という要素を練習して、ある程度自分の得意分野にした上で絵に盛り込むといいと思います。

── 見る側に「なんか変だな」という引っ掛かりを感じさせないで済むということですね。たしかに、ろるあさんも手や髪などが印象的な作品が多いですよね。

もともと手も髪もすごく苦手で、可能な限り描きたくないと思っていたんですけどね(笑)。自分で納得できるものが少しずつ描けるようになってきました。

── 現在はどのように絵の練習をしていますか?

なかなか練習らしい練習の時間を作れていないのが課題ですが、自分にとってチャレンジとなる要素を仕事のイラストでも入れるようにしています。最近だと、手塚治虫作品を題材にしたプロジェクト「Shin Arts×手塚治虫キャラクターズ〜Acrylic arts by Illustrations〜」で制作した『リボンの騎士』のイラストですね。

少し前に千葉市緑区にあるホキ美術館というところに行ったんですが、ここは写実絵画を専門とした珍しい美術館で、すごく刺激を受けました。写真のようなリアルさとは異なりつつも、「実物がそこにある」と思わせるアプローチが自分にもできないかと、いろいろ模索しながら描きました。あとはデフォルメが効いた原作のタッチから自分なりの解釈で肉付けしていく作業も新鮮でした。

リボンの騎士
2022.6/17-6/30 @表参道「SPAGHETTI」@ShinArts_#ShinArts pic.twitter.com/HuqlSfaJe1

— ろるあ|𝙍𝙤𝙡𝙪𝙖■個展『渇』 (@Rolua_N) June 7, 2022

部分ごとに研究して、自分のイラストに落とし込む

── 現在の作風がつかめてきたのはいつ頃でしたか? pixivで公開している過去の作品は、今の退廃的なテイストとは雰囲気が結構違いますよね。

今の描き方が定まったのは2020年頃です。それまでも仕事の依頼はあったのですが、「このまま続けていたら、いつか仕事が来なくなるかもしれない」と思うようになり、絵の描き方を根本から変えました。

以前は「どうせ細部にこだわったところで伝わらないだろう」という甘えがあったんですが、トーンカーブを使っていた場面でイチから色を選ぶようにするなど、より丁寧に絵と向き合うようになりました。あとは影を落とす描き方から光を当てる描き方にも変えました。

蝉蛻

by ろるあ/Rolua

悩んでいた頃、覚悟をこめて描いたという作品

その結果、今まで1、2日でイラストを完成させていたのが1週間、2週間、3週間と、1枚にかける作業時間が爆上がりしました。なので仕事を受ける条件も少し見直したりして、イラストレーターとしてギアチェンジした感じです。

── 描き方が変化したのにともない、働き方も調整したんですね。「自分の絵の何かがダメだけど、具体的にどこをどう改善していいかわからない」と悩んでいる人は多そうですが、ろるあさんご自身はどのように問題解決していきましたか?

「色の塗り方だと、この人が好きだ」や「線画はこの人がいい」と部分ごとに研究して、自分のイラストに落とし込んでいきました。「自分が今どういうふうに描いているか」より、「自分はどういう絵が好きか」を重視して考えるようにしました。

── CDジャケットやMVイラスト、ライトノベルのイラストなど、さまざまな案件をこなされていますが、媒体ごとの描き分けなどは意識していますか?

MVなどウェブ閲覧がメインになるものはそこまで気にしませんが、書籍の仕事では、ジャンルは意識していますね。本はどのジャンルの棚に置かれるかによって、いっしょに並ぶ本の雰囲気がぜんぜん違うんです。本棚のそのコーナーに置かれたとき、目を引くデザインはどんなものかを知るために、実際に書店に行って棚をチェックし、「ライトノベルの表紙は白背景のイラストが多いから、違う色を背景にしよう」とか「このジャンルだと、シンプルなデザインのほうが逆に目立つかも」のように決めています。

悪逆大戦

by ろるあ/Rolua

2
ライトノベル『悪逆大戦 地獄の王位簒奪者は罪人と踊る』(綾里けいし・作、KADOKAWA)の表紙イラスト

── そこまで考えてくれたら、作家さんや編集者も嬉しいでしょうね! ラフや着彩など、作業で時間をかけるのはどこでしょうか?

ラフの段階でこねくり回すタイプですね。パッとアイデアが思いつくこともありますが、1週間くらい悩むこともざらにあります。しっくりこないまま作業を進めても、納得いかない出来にしかならないので……。アイデアが浮かばないときは、与えられたテーマなどから連想ゲームをして、良いキーワードが出てくるのを待ちます。

会場全体を「異質な空間」に仕上げた初個展

── 初個展『渇(かわき)』の見どころを教えてください。

担当の方に無茶を言って(笑)、かなり内装にはこだわりました。会場全体を無機質な雰囲気にしたくて、床にも手を加えています。「pixiv WAEN GALLERY」で行われた過去のどの展示とも異なる、異質な空間に仕上がっているとうれしいです。あとは描き下ろし作品が9点あるので、そちらもぜひお楽しみください。

── 『渇』というタイトルはどのように決まったんでしょうか?

「こうだったらいいな」という願いのような感情をイラストで表現することが多いんです。そこから連想ゲームをして、「願い」から「渇」というワードに行き着きました。毒々しくないのに、どこか執着を感じさせる塩梅の言葉だなと。

個展『渇』

by ろるあ/Rolua

2

── 「渇愛」「渇望」などの言葉が思い浮かびますね。メインビジュアルについてもお話いただけますか?

描き下ろしのメインビジュアルは、「渇」からひび割れたイメージを連想しました。ひび割れているとしたら、殻。殻を破ろうとしている。それは新しい自分への変化ではあるけど、周囲にたくさんの手を描くことで強制的に羽化させられているようにして、「この変化は果たして良いものなのか否か」という見せ方にしました。「羽化」というワードから繋がって、キャラクターの髪は羽化中のセミの羽のような色にしています。

── 初個展が実現し、イラストレーターとして今後の目標は何でしょうか?

やはりアニメーションの仕事はやってみたいです。あとはイラストの連作ですね。ストーリーを伝えようとするあまり絵的につまらなくなりかねない難しさはありますが、そこを上手く両立できるように、練習も兼ねて連作に挑戦していきたいです。

7/27(水)まで! ろるあ初個展「渇」開催中!

pixivとツインプラネットが共同運営するギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWINPLANET × pixiv」にて、ろるあさんの初個展「渇」が2022年7月27日(水)まで開催中です。


展示のための描き下ろし9点を含む約60点のイラストを展示します。イラストとの調和を重視して、床や壁の色も変えるなど、ろるあさんのイラストをじっくり楽しめる空間となっています。ぜひギャラリーに足を運んでみてください。


開催期間:2022年7月8日(金)~7月27日(水)

定休日:なし

入場無料

所在地:東京都渋谷区神宮前5-46-1 TWIN PLANET South BLDG. 1F

営業時間:12:00~19:00


>>pixiv WAEN GALLERY公式HP<<

>>公式Twitter<<


※混雑時は整理券対応をさせていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください。


※新型コロナウイルスへの対策について

ろるあ個展「渇」について、現時点では7月27日(水)までの開催を予定しております。今後も状況を注視しながら対応を進めてまいりますが、新型コロナウイルスの感染状況などにより、開催期間に変更が生じる場合がございます。販売商品や来店方法等を含め、運営状況については、随時pixiv WAEN GALLERY公式HP、公式Twitterにてお知らせさせて頂きます。何卒ご理解賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

一部グッズはWEB販売も!

BOOTHにて個展販売グッズの一部をご購入いただけます。ろるあさんのスタイリッシュな絵が活きた素敵なグッズをぜひご覧ください。

>>BOOTHを覗いてみる<<

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